【どう見るこの相場】小さな流れが大河となるか?ベトナム関連株の「ドイモイ」に青田買いも一考余地

2019年10月7日 10:14

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■中国関連株の株高・株安などに一喜一憂するミラー相場に

 皮肉にも経済指標の相次ぐ悪化が、株高材料となっている。前週末の米国のダウ工業株30種平均である。景気の減速感が強まれば、FRB(米連保準備制度理事会)が、追加金利引き下げに動きマーケットに新規マネーを呼び込むという見立ててで、この際、経済指標の赤信号大歓迎というわけだ。では週明けの今週はどうか?10日には米中の閣僚級貿易協議が開催予定で、トランプ大統領が、肩入れしてきた北朝鮮との実務者交渉が物別れとなっと一部報道されただけに、そこそこのところで手打ちするのか、ますます深刻化する香港の大規模デモが影響しないのかなどなど、国内市場は、独自材料も見当たらないだけに海外市場のハイテク株や中国関連株の株高・株安に一喜一憂するミラー相場が続きそうだ。

■マスコミへの露出度が増しているベトナムに注目

 そうしたマーケットの浮き沈みのなかで、ややディフェンシブであるが、このところマスコミへの露出度が増しているベトナムに注目したい。ベトナムへの注目度は、あの昭和の団塊世代にとっては、1960年代から1970年代まで続いたベトナム戦争以来との印象が強い。ベトナム戦争は、世界的な反戦運動を巻き起こしつつ厭戦ムードやヒッピー文化も醸成し、ついには米国を撤退に追い込み、その後の中越戦争でも、中国軍に打撃を与え「中国と戦って唯一負けなかった国がベトナム」との最強伝説さえ生んだ。遠く歴史を遡れば、中国王朝時代は冊封体制下の朝貢国ではあったが、それでも地域では覇権を争った雄国のしたたかさがあり、それがDNAとして連綿しているようにもみえる。

 このベトナム戦争は、結局は冷戦下の代理戦争と後世が教えるところである。ベトナムのバックには旧ソ連が控え、米国の資本主義対旧ソ連の共産主義の覇権争いの代表戦を演じたというわけだ。今回のマスコミへの露出度アップの文脈も、大分スケールは見劣りするもののやはり代理戦争の趣がある。今度は、米国と中国の覇権争いである。米国が、貿易不均衡ばかりか知的財産権、先端技術、軍事的な膨張にまでクレームをつけ、中国を相次ぐ制裁関税の発動で追い詰め、この攻防のなかでベトナムの存在感が増しているからだ。「世界の工場」といわれた中国が、海外資本の撤退に直面し、代わってベトナムに向けて中国からの生産移管のための新サプライチェーン(供給網)構築の直接投資がブームとなり「世界の工場」への期待を高めている。

 共産党が一党支配する社会主義国家ながら、1986年から導入した市場メカニズムや対外開放政策を軸とする「ドイモイ(刷新)」政策の成果である。現在のところ中国の補完拠点として「チャイナ・プラス・ワン」の位置付けだが、中国が、「世界の工場」からリーマン・ショック以降、マネー、国内マーケット、情報、技術、軍事までも米国と肩を並べる強大国となったのと同様に、ベトナムも、生産移管の小さな流れが、やがてはDNAのしたたかさを発揮して大河となるか大いに興味のあるところだ。

 前置きが長くなったが、そこでベトナム関連株が浮上してくるばずだ。全般相場が、海外市場の波乱展開にふらされるようなら、ベトナムの「ドイモイ」を見習って投資ポイントを変え、これまで余り取り上げられてこなかったベトナムに進出した関連株にアプローチ、青田買いする余地があると想定されるからだ。問題は、どの銘柄に照準を合わせれば高いパフォーマンスが期待できるかにかかる。参考になるのが、今回のベトナム・ブームが、第3次に当たるという事実である。

 1994年からの第1次ブーム、2008年9月のリーマン・ショック後の第2次ブームに続き、今回の2012年以来の第3次ブームでは、ベトナムへの直接投資銘柄に有意の差があり、その特徴により有望株をスクリーニングできるはずだ。また今年4月に施行された改正出入国管理法でビジネスチャンスが拡大する人材関連株も、この一角を形成する。もちろん全般相場がなお波乱含みのなか、投資採算的にも割安水準にある銘柄にポイントを絞ることは、銘柄選別と同様に重要となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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