5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (17)

2019年10月1日 18:07

印刷

 コピーライターと言うと、ただの書き屋と思っている人が多いのですが、違います。コピーという文章で勝負していることは確かですが、言葉を発見し、文章にしていくこと以前に考えるべきことと、別途書くべきものがあります。戦略を考え、それを企画書にすることです。

【前回は】5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (16)

 戦略については過去にいくつかお伝えしました。従って今日は「企画書の役割&書き始め方」についてお話をします。

 企画書という実用書類は、こちらの提案にクライアントを同意・同感させることが目的です。つまり、いい企画書とは、相手を「なるほど!」と納得させ、もっと言えば、「相手をこちらが思うように動かせる」企画書を指します。

■(19)「読み手をコントロールする」ことを意識して書き始める。

 繰り返しになりますが、企画書は「相手をコントロールして動かすための究極の武器」なのです。これを意識して書く場合とそうでない場合では、成果が大きく違ってきます。では、実際に読み手をコントロールするにはどうしたらいいのでしょうか。

 当然のことですが、「読み手がトクする、価値ある情報(解決スキーム)」を提案することです。たとえば、課題のために誰を動かそうとしているか。品質ではない新しいものさしで顧客行動を創出しようとしているか。世間とどう関われば生活者はブランドに向かって動いてくれるか。一人の人をどれだけ強く動かせるか。そのプロモーションは未来を指し示しているか。この辺りを提案内容の正否を見極める指標にするといいかもしれません。

 初めのうちは、ついつい提供価値を言い当てることに努めたり、クセでそのブランドでしか言えないことを探そうとしてしまうかもしれません。そうではなくて、まずは「本当は何のために生まれてきた商品なのか」を定義すると、コミュニケーションターゲットが明確化し、企画しやすくなると思います。

 プレゼンの勝負は「思考量」で決まります。だからこそ、誰よりも考えるしかないのです。その繰り返し作業が企画の強度を高め、結果、プレゼン度胸も上がっていくのです。

著者プロフィール

小林 孝悦

小林 孝悦 コピーライター/クリエイティブディレクター

東京生まれ。東京コピーライターズクラブ会員。2017年、博報堂を退社し、(株)コピーのコバヤシを設立。東京コピーライターズクラブ新人賞、広告電通賞、日経広告賞、コードアワード、日本新聞協会賞、カンヌライオンズ、D&AD、ロンドン国際広告祭、New York Festivals、The One Show、アドフェストなど多数受賞。日本大学藝術学部映画学科卒業。好きな映画は、ガス・ヴァン・サント監督の「Elephant」。
http://www.copykoba.tokyo/

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