セブンイレブンに続発する「不都合なニュース」 (3-1) 24時間営業はどうなる?

2019年9月26日 17:15

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 セブン・イレブン(セブン)にとって不都合な第1報は、2月に大阪のフランチャイズ店(FC店)が始めた、独自の時短営業にまつわる情報だ。

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 大阪のセブンFC店の出来事は、経営者であるオーナーが”割に合わない24時間営業”からの転換を決断したことに、セブンの本部が契約解除という究極の制裁で対抗するという方針を打ち出したことによって、一気に社会の耳目を集めることになった。

 契約解除は重い。一瞬にして収入は途絶え、開業時の借金が残り違約金の支払いを求められる。今までのセブンであれば「契約解除」をチラつかせるだけで、オーナーは腰砕けになり、表面化するまでもなくあっという間に事態は収束しただろうが、今回は違った。

 コンビニが抱える裏面の暗い実態に社会の注目が集まり、オーナーへの同情が一気にセブンへの逆風に変わった。風向きの急変により守勢に立たされたセブンは、24時間営業の見直しを迫られている。以前から24時間営業に疑問を抱いていた他のコンビニチェーンも、方針転換の絶好機と見て見直しを始めた。

 コンビニには本部とFC店の間で、経費の負担に関する独特の決めことがある。売上から原価を引いた粗利に、50%前後のロイヤリティ料率を掛けて本部が吸い上げる。売上等によって加盟店ごとの料率に違いはあるが、加盟店と本部が利益を折半する感じだ。加盟店は残った中から人件費やその他の経費を支払い、最後に残った分がオーナーの収入になる。

 覚えることが多い割には報酬に魅力がないと思われているコンビニでは、時間給の割増が人手確保のキーポイントであり、深夜勤務には欠かせない条件だ。問題は、深夜の営業時間帯の売上が、パートの時間給の引上げに連動して増える訳ではないところにある。

 立地条件に大きく左右されるが、どんなに夜型の生活者が増えたところで、昼間に匹敵する売上を計上することは至難の業である。多くの店は昼間に稼いだプラスの部分を、深夜のマイナスにつぎ込んで、トータルで店舗の営業が成り立っているのが実態だ。

 多くのオーナーの本心が、店舗の状況に合わせた営業にしたいと思っていることは、コンビニ業界第2位のファミリーマート(ファミマ)が8月23日に発表した、時短営業の実験結果で明白に示されている。

 実験によると、売上は減少したが人件費の削減効果がそれを上回ったため、結果としてオーナーの利益が増加する傾向が強く、「深夜閉店がオーナーの収入減少を意味しない」と公表された。

 ファミマでは規模を拡大して、10月~12月に700人のオーナーを対象にした拡大実験を行う。ファミマが実施した時短営業に関するアンケートに対して、加盟店のほぼ半数に当たるオーナーが時短営業を「検討したい」と回答しているという。

 自店の時短営業の結果を検討して、24時間営業を継続するか、時短営業に転換するか、ファミマのオーナーは自分で選択する自由を手にすることになるようだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

続きは: セブンイレブンに続発する「不都合なニュース」 (3-2) オーナー・ヘルプ制度に実態はあるのか?

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