三菱電機、人工衛星搭載技術用いて人の行動把握もできる赤外線センサー開発

2019年8月6日 17:59

印刷

サーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR(メルダー)」(三菱電機発表資料より)

サーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR(メルダー)」(三菱電機発表資料より)[写真拡大]

 三菱電機は6日、従来より10倍の高画素、5倍の高温度分解能性能を、従来比20%の小型パッケージで実現できるサーマルダイオード赤外線センサーを開発し、「MelDIR(メルダー)」として11月1日より発売すると発表した。これまでになかった高い精度での人や物の識別と、人の動きの把握ができるという。

【こちらも】三菱電機、産業用ロボットAIの強化学習を進化 学習時間を1/10に短縮

 赤外線センサーは、これまで防犯機器や空調機器、建物等での人数カウントなどで使用されてきた。センサーには、人や物を高精度に識別でき、人の動きも把握可能となる、高精細化、高分解能化が望まれていた。三菱電機では、同社が設計・製造に携わった陸域観測技術衛星「だいち2号」の地球観測用小型赤外カメラに用いられた技術を応用することで、高精細・高分解能のサーマルダイオード赤外線センサーを開発した。

 赤外線センサーでは、センサーのサーマルダイオード部分が赤外線を受光して発した信号を演算処理することで温度情報を得ている。センサーの高画素化・高温度分解能化には、センサー面にサーマルダイオード部分を増やす高画素化が必要となる。三菱電機では、半導体製造プロセス技術でサーマルダイオード部分の高実装を実現した。

 さらに、サーマルダイオードと信号を演算するアンプ部分を同一基板上に形成することで、信号の電磁ノイズを最小化し、高い温度分解能も実現した。センサーの小型化は、従来のセラミックパッケージに替えて、チップスケールパッケージ技術を採用して実現している。

 センサーは、3.3Vで駆動し、-5度から+60度の温度範囲で使用できる。画素数は80X32、温度分解能は100mK、画角は78×29度の性能を有している。価格は税抜きサンプル価格として8,000円で出荷される。

関連キーワード

関連記事