日産、19年4~6月期は経常利益78%減 純利益94%減

2019年7月29日 16:06

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決算発表を行う日産の西川廣人社長。(画像: 日産自動車の発表し利用より)

決算発表を行う日産の西川廣人社長。(画像: 日産自動車の発表し利用より)[写真拡大]

■売上高営業利益率は0.1%に低下

 日産自動車(7201)は25日、20年3月期第1四半期(4月~6月期)決算を発表。売上高は前年同期比12.7%減の2兆3,724億2,200万円、営業利益は同98.5%減の16億900万円、経常利益は同77.8%減の353 億2,800万円、純利益は同94.5%減の63億7,700万円だった。

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 通期予想に対する進捗率は、売上高が21%、純利益が3.8%と低進捗。売上高営業利益率は前年同期の4.0%から0.1%と急低下し、業績悪化を招いている。

■業績悪化は自動車販売台数の伸び悩みと構造改革コストが主因

 日産の1Qグローバル自動車販売台数は前年同期比6%減の123万1,000台、日本国内は、同2.6%減の12万6,000台と伸び悩む。中国は同2.3%増の34万4,000台で伸ばしたが、ロシア含む欧州、アジア・オセアニア、中南米等世界全体的に前期比減の販売台数だった。結果、販売活動において605億円の減益インパクトとなった。

 同時に為替が円高に動いたことから423億円の減益要因となり、前年利益には到底及ばなかった。

■リストラ策を打ちゴーン体制の拡大路線から転換へ

 日産は事業構造改革に取り組んでいる。まず「22年度までにグローバル生産能力を10%削減」によって生産稼働率の向上に努める。併せて生産能力調整によるリストラを1万2,500名規模で実施。

 商品ラインアップの効率化を図ることで商品競争力を高める方針を打ち出した。これは18年に逮捕されたカルロス・ゴーン前会長の拡大路線から転換を行うものであり、ゴーン体制に別れを告げる格好だ。

■22年度までの売上高営業利益率目標を8%台から6%台に引き下げる

 22年度までに日産は売上高を当初16兆5,000億円、売上高営業利益率を8%台とする目標であったが、売上高が14兆5,000億円、売上高営業利益率を6%台へと引き下げた。世界販売台数で一時世界1位まで登り詰めたルノー日産アライアンスだったが、ゴーン氏逮捕によって方針転換を図らざるを得ない状況だ。
 
 カリスマが去った今日の日産においては、西川体制によってコスト構造の見直しに着手している。ただ上手く進むか市場は疑問符をつけているのが現実だ。12,500人のリストラを実施しなければならない事態に陥ったのは、日産がこれまでおざなりにしていた危機管理能力の甘さからくるツケであるといえるだろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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