インド洋深海の巻貝「スケーリーフット」、絶滅危惧種に認定される

2019年7月24日 20:57

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絶滅危惧種認定されたスケーリーフット。(画像:JAMSTEC発表資料より)

絶滅危惧種認定されたスケーリーフット。(画像:JAMSTEC発表資料より)[写真拡大]

 インド洋の深海に暮らす奇妙な巻貝、スケーリーフット。鉄の鱗を持つ生き物として一部で有名なのだが、この種が国際自然保護連合(IUCN)の認定するレッドリストにおいて、絶滅危惧種と認定された。海洋研究開発機構(JAMSTEC)が発表した。

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 スケーリーフットは通称であり、和名はウロコフネタマタガイという。2001年にインド洋深海の熱水域で発見され、その後もごく限られた海域でしか発見されていない珍種である。体表に硫化鉄でできた鱗を持つ、ただ一種類の動物として知られる。ちなみに、硫化鉄を利用しない白いスケーリーフットというのもいるのだが、遺伝的には同じ種類の生き物であることが確認されている。

 今回の登録に至ったのは、生息域が少なくまた小さいこと、特異な生息環境を持つこと、そして個体群間の交流が乏しく、また今後資源開発などによって生息環境が失われる危険性が懸念されているためであるという。

 なお、生息環境が限定的にしか知られていない(未知の部分が多い)深海生物がレッドリスト入りするのは、初めての事例であるという。

 スケーリーフットのような「熱水固有種」は、1977年に初めて確認されて以来、現在500種ほどが確認されている。熱水活動域というもの自体がそんなにありふれたものではなく、現在地球上で確認されている熱水活動域の地点数は700程度である。

 熱水固有種は個々の熱水活動域を移動する能力を持たないため、卵や幼生の状態でプランクトンとして移動するものと考えられるが、そのような手段による地理的交流はほとんど稀なものになると考えられ、それが今回の絶滅危惧種指定理由の一つでもある。

 スケーリーフットの他にもあと14の熱水固有種が現在評価の途中であり、おそらくは全てが絶滅危惧種に指定されるものと考えられるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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