中国に買収されても「実力派」ワゴンはボルボPHEV 「V60」T6 Twin Engine AWD

2019年7月7日 07:35

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6月に追加されたベースグレード「V60 T6 Twin Engine AWD Momentum」(画像: ボルボ・カー・ジャパンの発表資料より)

6月に追加されたベースグレード「V60 T6 Twin Engine AWD Momentum」(画像: ボルボ・カー・ジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 ボルボはスウェーデンの誇りだ。それが中国資本ジーリーに買収された。元々は1999年にフォードに売却され、その後フォードが2008年のリーマンショックで経営危機に陥り、中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディングス)に売りに出されてしまったのだ。

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 スウェーデンは特殊鋼で有名になり、最先端文化を行く国民性で、60年の昔から「フリーセックス」で知られていた。世界レベルの戦闘能力で知られる「サーブ・ドラケン」から始まり電子戦に強みを持つ「サーブ・グリペンE」までの戦闘機は、先進的アイディアが光る出来で、スウェーデンの国民性の象徴だ。

 そのスウェーデンのボルボをジーリーが買収したが、「金は出すが口は出さない」主義で、ボルボの独自性を尊重している。近年のボルボの車両は、出色の出来と言っても良いものだ。日本車から学んだと言われる買い物袋のフックなど、使い勝手に対するきめ細かな配慮を随所に見せている。

 ボルボのワゴンが日本で話題になってきたのは30年ほど前であっただろうか。ボディデザインは、「ワゴンである」と言わんばかりの箱型の処理で「弁当箱」と言われ、質実剛健の印象だった。それがジーリーに買収されて以降デザインも優雅になり、特に、インテリアは北欧の香りが漂う優美なものとなってきた。SUVが優勢になる中、再びV60のようなステーションワゴンを育て上げる力は、ボルボならではのことであろうか。

 そのボルボV60のPHEVが、昨年9月に日本でも発売され、今春には納車が始まった。「ボルボV60 T6 Twin Engine AWDインスクリプション」はガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、一般電源(200V)から充電可能なプラグインハイブリッド(PHEV)である。

 HVのことを、ボルボは「Twin Engine(ツインエンジン)」と称している。エンジンは2リッター4気筒直噴ターボチャージャーとスーパーチャージャーの両方を持ち、最高出力253ps、最大トルク350Nmとなる。アイシン・エィ・ダブリュ8段ATと組み合わせて、スタータージェネレーターと駆動用モーターが装備されている。モーター出力は46ps/160Nm程度となっている。さらに、リアモーター(87ps/240Nm)が装備され、電動4WDとなっている。もちろん回生ブレーキとしてモーターは働く。

 LGケム製リチウムイオンバッテリーはセル数96で34Ah、EV走行可能距離は48.2kmとなっている。EV走行での最高スピードは125km/hとなっており、PHEVとしては十分すぎる性能だ。

 充電は家庭用200Vで可能。充電所要時間は2.5~3時間とEVに比べ比較的短いため、BEVよりも実用的である。ガソリンエンジンは、ターボチャージャーにスーパーチャージャーを備えてモーターのアシストもあるとなると、日常走行では低速走行からかなり使いやすいことが感じられる。あらゆる方面から評価して、現在の世界市場で「ベストチョイス」と思われる1台だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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