ベンツ・GLC、クーペボディまであるワイドバリエーション主力SUV 不快な挙動を解消

2019年7月5日 17:40

印刷

メルセデス・ベンツ「GLC」(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)

メルセデス・ベンツ「GLC」(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)[写真拡大]

 メルセデス・ベンツのこれからの主力車種GLCがマイナーチェンジした。「C」クラスはミドルクラスだが、登場した当時はベンツの最下位小型車種であった。その後、Aクラス、Bクラスと加わってきたのは、マイナーチェンジごとに大きくなる車体寸法を埋めるため、下位クラスの車両が必要になってしまったからだろう。

【こちらも】メルセデスSLC生産終了、「ファイナルエディション」発売 SLKオリジナル・イエローで

 マイナーチェンジされたベンツGLCの寸法は、全長(4,660-4,675 mm) 全幅(1,890-1,930 mm)全高(1,625-1,645 mm)で、Cクラスと言っても横幅は半世紀前のフルサイズである。2019年3月のジュネーブショーでフェイスリフトを受けた新型が発表され、デザイン中心に変更された。

 エクステリアはグリルやランプ類などお決まりの変更で、ベンツ独特の味わいを決める全体的変更はない。インテリアも基本はCクラスそのままだ。しかし、対話型インフォテイメントシステム「MBUX」を採用したのが、これまでのCクラスと異なることだ。

 いずれは全車種に「対話型ユーザーインターフェイス」は取り入れられていくのが、世界的流れであろう。その先には、顔認証によりドライバーが誰であるのか認識し、他人の場合は「指紋認証」その他で、確認を要求するようになるのだろうか?

 新2リッター4気筒ディーゼルエンジンである「OM654型」は、旧2.2リッターディーゼルエンジンに替わるもののようだ。最高出力258馬力、最大トルク500Nmに組み合わせるトランスミッションは9速ATで、「4MATIC」すなわち4輪を駆動するAWDも用意されている。「4MATIC」は使い方にもよるが、安全面からは備えたほうが良い技術だ。

 注目すべきグレードは「GLC300 4MATIC」で、2リッター直列4気筒ターボエンジンに、ベルト式のスタータージェネレーターである「BSG」を組み合わせた「M264型」だ(日本仕様では見送りの予定)。48V電源でモーターを駆動するマイルドハイブリッドとなっている。クロスカントリー能力を考えるとこのモーターアシストは重要で、DCTではなくATと組み合わせておくのがベストであろう。

 ベンツ・BMWなどドイツメーカーが進める48V電源による電動化技術であるが、トヨタが特許を開示した今、「クラッチ方式のトルクミックス」よりも「トヨタ方式トルクミックス」のほうが優れているように感じる。取り入れることになるのか?ドイツメーカーの今後の動きを注視したい。

 さらに今回のGLCは、エアサス仕様が選べるようで、近年このエアサスによって乗り心地と走破能力の両立を図るプレミアムカーが増えている。しかし、トヨタ・カローラスポーツのように、従来通りに近いメカニズムなのに、ダンパーの油質によって初期微動で衝撃を吸収し、大きな突き上げやロール等の動きを抑えるサスペンションのメカニズムを称賛したい。それは、「コストを抑え、かつ能力の高いサスペンション」を実現する技術開発だからだ。

 特に、近年SUV全盛となり、「背の高い箱型ボディゆえ」の「ローリング」と「ピッチング」、というより「横揺れ」と「のめり感」とも言うべきサスペンションの不快な動きが気になる。それを抑える必要性からも、「サスペンションセッティングの新しい課題」として捉えてほしい。SUVの挙動はかなり不快だというのが実感なのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事