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チンパンジーは怪我をした人間を見ると情動を動かされる、京大の研究
赤外線サーモグラフィで撮影したチンパンジーの画像例。色の違いは温度の違いを表す。(画像:京都大学発表資料より)[写真拡大]
チンパンジーは怪我を負った人間に関心を向け、情緒的な反応を示すものであるらしい。京都大学野生動物研究センターの佐藤侑太郎博士課程学生らを中心とする研究グループが明らかにした。
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ヒトには共感という機能がある。例えば、怪我をした人間や痛みを感じている人間を見ると、自分も痛みを感じているかのような感覚に陥る。このとき、実際に体温や心拍などの生理的指標には変化が生じている。
細部にまで触れる紙幅はないが、ヒトもまた、より原始的な生き物から進化してきた存在である。従って、進化のどこかの段階で共感という能力は獲得された、と考えられる。果たして、それは進化のどの時点であったろうか。
過去のことを探るのは難しいが、ここに比較行動学という手法がある。ヒトに近い進化系統の生物、ここではチンパンジー、それが共感能力ないしその萌芽と言うべきものを持っているかを確認すれば、その情報は大きな参考になる。
今回の研究では、まずチンパンジーに対し、怪我をした個体と怪我のない個体の写真を並べて見せ、その視線を分析した。するとチンパンジーは、怪我をした個体の方を長く注視するということが分かった。
次に、特殊メイクによって切り傷を負ったように見えるヒトのサンプルを用意し、チンパンジーに怪我をしたように見える場面を見せた。このとき、怪我をする場面を見せられたチンパンジーは、鼻先の皮膚温が大きく低下した(なお、実験に使われたチンパンジーによって反応には個体差が見られた)。
最後に、ヒトが誤って親指に釘を刺した場面をチンパンジーに見せた(これも特殊メイクによるものである)。釘を刺す、というのはチンパンジーには「怪我」として認識しにくい場面であるわけだが、この場合、釘を刺した場面とそうでない場面で、チンパンジーの反応に大きな変化は見られなかったという。
研究の詳細は、国際学術誌「Animal Cognition」にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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