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愛媛大など、新種の甲虫「ヒョウタンホソヒラタムシ」発見 絶滅危惧種か
ヒョウタンホソヒラタムシ Airaphilus abei の全形写真。体長は2.77~3.36ミリメートル。(画像:愛媛大学発表資料より)[写真拡大]
青森県で、絶滅危惧種である可能性が高い新種の甲虫が発見された。愛媛大学農学部の 吉田貴大学振特別研究員、イギリス・バークシャー州のD. G. H. Halstead博士、九州大学農学部の広渡俊哉博士らの研究グループによるもので、ヒョウタンホソヒラタムシ Airaphilus abei と命名された。
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この新種は、1992年に青森県つがる市のコケヤチ湿原で採取されたとされる4つの標本と、情報の分からない1つの標本をもとに研究が進められている。この種はホソヒラタムシ科の、日本では未発見だったAiraphilus属の一種であり、また海外の種に同一のものが無いため、新種であると同定された。
ヒョウタンホソヒラタムシという名前は、強くくびれた胴体を持つということに由来する。生態はほとんど不明であるが、湿原で発見されたこと、またヨーロッパに棲む近縁種がやはり湿原に暮らすことから、湿原環境に依存した生態を持つことが示唆される。
ただし日本列島において湿原は、深刻な縮小が進んでいる。この種が発見されたコケヤチ湿原もまた、乾燥化によってほとんど草原に変貌してしまっているという。
またヒョウタンホソヒラタムシは、後ろの翅が退化していて空を飛べず、従って移動能力も低いと考えられ、もろもろの条件を考え合わせて、既に絶滅が危惧される状況にあるものと推測されるという。
なお、古い標本しか確認できていないことから、研究チームは現地で再調査を行っているが、結局再発見はできなかったという。従って、ひょっとしたら絶滅危惧種どころか既に絶滅してしまっている可能性もあるとのことである。
研究の詳細は、チェコの国際学術誌『Acta Entomologica Musei Nationalis Prague』で公開された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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