副業がまだまだ浸透しない理由 企業が認めないのはなぜか

2019年6月1日 11:08

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 厚生労働省が、副業・兼業の促進に関するガイドラインを作成したことによって、2018年は『副業元年』とも言われるようになった。これによって、副業に興味を持った人は増加しており、副業を認める企業も少しずつ増えてきた。

【こちらも】副業許可企業と全面的に禁止企業が拮抗 パーソル総合研究所調査

 しかしまだまだ副業を認めていない企業は多い。パーソル総合研究所が発表した『副業の実態・意識調査』によると、副業を認めている企業と認めていない企業は50%ずつとなっている。働き方改革関連法案も施行されたと言うのに、労働環境に大した変化を感じられていない人も多いのではないだろうか。なぜ企業には副業解禁がなかなか浸透しないのか、いくつか紹介する。

●自社の業務に専念してほしいから

 副業を始められることによって、自社の業務に支障をきたすと考える企業は非常に多いようである。他社の業務のことを考える暇があれば、その分自社で頑張ってほしいという考えである。このような企業は、副業に対して後ろ向きな考えが強い。

●疲労による業務効率の低下を懸念

 副業を認めない企業は、この点を懸念していることが多い。みずほ総合研究所の『副業・兼業の広がりの可能性』によると、「過重労働となり、本業に支障をきたすためすため」が、副業を許可しない理由の82.7%にものぼる。副業で従業員の疲労が溜まったとしても、企業はそこまで管理しきれないというのが本音である。

●業務上の秘密漏洩が心配

 副業をすることにより、企業秘密が他社へ漏れてしまうのではないかという点を懸念する企業も多い。この点については、同業他社以外での副業のみ認めるというルールなどを定めれば、防ぐことができるかもしれない。

●副業禁止の企業は今後も認めない可能性が高い

 他にも理由は挙げられるが、この3つが特によく挙げられるものだ。約50%の企業がこれらの理由で認めていない。

 さらに現在副業を認めていない企業は、今後も認めない傾向にある。パーソル総合研究所の『副業の実態・意識調査』によれば、現在、副業を禁止している企業のうち、70.9%が今後も認めないと決めているようである。

 このように考える企業が多いため、いくら政府が副業推進を掲げたところで、なかなか浸透しないのは当然とも言える。今後も副業を認める企業が急拡大するということは、あまり期待できないかもしれない。もし副業をしたいのであれば、副業をできる企業に転職するほうが早いかもしれない。(記事:IKO・記事一覧を見る

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