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『時をかける少女』アニメ制作会社が違法な長時間労働や未払いで是正勧告
映画『時をかける少女』などを手掛けたアニメ制作会社「マッドハウス」が、男性社員への違法な長時間労働や残業代未払いにより、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。このニュースを受け「マッドハウスのような大手でもブラックなのか?」など、アニメ制作現場に対し大きな波紋が広がっている。
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■大手アニメ制作会社が男性社員に違法な労働
大手アニメ制作会社「マッドハウス」(東京都中野区)は、男性社員に対し労使協定の上限を超える違法な長時間残業をさせたり、それにより生じた残業代の未払いなどがあるとして、新宿労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが17日、判明した。男性社員と、社員が個人加盟した労働組合が明らかにした。なお勧告は4月17日付である。
労働組合によると、マッドハウスは繁盛期の残業時間を「月60時間」とする労使協定を結んでいた。ところが実際には残業が「月220時間」に及んだり、「37日間連続」で働くこともあったという。さらに同社は「50時間分」など一定の時間外労働を想定した「固定残業代」を払っていたが、それ以上の支払いは男性社員にされてはおらず、未払い残業代があったことも発覚している。
男性社員はアニメ制作の進行状況を管理する立場だったが、総労働時間は「月393時間」に及ぶこともあり、過労から路上で倒れ救急車で運ばれたこともあったという。同社では寝不足のまま自動車の運転なども常習化しており、年に2~3回は物損事故ではあるが交通事故を起こしていたという。
労働基準法第32条では、原則として「1週間に40時間・1日に8時間」を基本労働時間と定め、それを越える時間を「残業時間」としている。単純計算ではあるが、男性の最も多かった「月393時間」を土日を抜いた月22日で割ると、1日約18時間労働。この総労働時間を「37日間連続」勤務時と捉え30日で割ったとしても、1日13時間にも及ぶ過酷な労働であったことが分かるだろう。
また同社の制作現場では「パワハラ」も発生していたという。男性社員はこうした「労働現場の改善」を訴え団体交渉したが、会社側から全て「拒否」されたという。
同社は男性社員に対する長時間の労働や残業代の未払いなどを認め、労働基準監督署の指摘に従って対処。男性社員とも誠実に向き合い、話し合いを続けたいとしている。
■アニメ制作会社の現状
今回問題となった「マッドハウス」は、劇場アニメ『サマーウォーズ』『時をかける少女』、最近ではTVアニメ『オーバーロード』『若おかみは小学生!』などでも知られる大手アニメ制作会社だ。
近年アニメ業界では、制作会社で働くアニメーターの低賃金と長時間労働、それにより生じるアニメ全体の品質低下などが問題視されていた。その原因として、毎期過剰に制作されるアニメの本数と制作時間の短期化が、結果として「アニメ=安価制作」に繋がってしまっているとも指摘されている。
今回のマッドハウス問題は、度々問題視されるアニメ制作現場での出来事であったため、SNSなどを中心に大きな話題となった。さらにいくつもの人気作品を生み出し、制作会社の中でも大手であったマッドハウスなだけに、業界およびファンの間ではさまざまな波紋を生み出している。(記事:高塔・記事一覧を見る)
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