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ホンダ四輪部門、利益率1.9% ホンダジェットは成功しても本田宗一郎の夢、挫折か? (上)
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5月8日の記者会見で、ホンダは八郷隆弘社長自ら説明に立ち、四輪事業の今後の方向性について語った。それは、ホンダが危機的状態にあることを示している。2019年3月期実績で1.9%の利益率であるそうだが、2018年10月からの3カ月間では四輪部門は利益率1.3%になっているとも伝えられている。
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2019年3月期の四輪部門の生産台数は、前期比2%増の532万3000台、売上高も同2%増の11兆2877億円だった。しかし営業利益は、同44%減の2096億円となってしまった。これはつまり、増産してもコストが増加していることが明白だ。全世界での販売戦略に生産戦略が追いついていないのだ。明らかな経営者の間違いと言える。
■ホンダ苦境の原因はグローバル企業の勘違い
3~4年ほど前、「次はホンダが危ない」と身近な人たちに話したことがあるが、その時はだれも本気にしていなかったようだ。しかし現在の状況は、予測できたもので、ホンダにはかつてのような魅力ある商品がなく、何よりも製造業のかなめである「生産方式」の開発が遅れていることで利益率が落ちることは明白だった。
マツダも利益率が上がらないのだが、トヨタのTNGAに先駆けた生産・開発技術の刷新を図っており、今後の楽しみが見て取れる。それに比較して、ホンダに回復のストーリーが見えていない。
ホンダは世界に生産拠点を展開し、それぞれの地域で専用車を造ってきた。それは、「2016年度に600万台」との目標を掲げて、拡販・増産を目指していたからだ。目標を立てることは間違いではない。しかし方法論を間違えると、こうしたことになる。経営陣の能力が足りなかったと言い切れるだろう。
グローバル企業になったホンダは、経営陣と執行役員とを明確に分離した。これは現在の欧州、アメリカ企業に見られる特徴だが、「取締役が商売の素人」、もっと言えば「取締役がビジネスモデルを理解できていない」現象が起きる元凶だ。つまり経営者が、「投資家」のようにふるまうのだ。これは急速に日本企業にも波及して、組織が作れるようになった。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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