家族との触れ合いが史郎と賢二の絆を再確認させる、「きのう何食べた?」5話レビュー

2019年5月10日 20:29

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■史郎の家族関係が徐々に柔らかくなっていく5話

 2019年の春ドラマの中でも、話題に事欠かない作品といえば「きのう何食べた?」だ。テレビ東京の深夜ドラマとして放送がスタートし、主役を務める西島秀俊と内野聖陽の演技もあってSNSなどでは放送日ことに悶絶する視聴者もいるようだ。

【前回は】2人が暮らし始めたきっかけが明らかに! 「きのう何食べた?」第4話レビュー

 2人の演技はもちろんのこと、セクシャルマイノリティの日常を描いている点や、主に史郎が作る健康的な食事シーンも本作品の特徴だ。5話では史郎の家族関係に進展が見えると共に、賢二の家族についても垣間見えるシーンがあった。

■賢二の一言で実家に帰ることにした史郎

 世間は年末シーズンとなる頃、史郎(西島秀俊)は父である筧悟朗(志賀廣太郎)の手術がうまくいったことに胸をなで下ろしていた。母の久栄(梶芽衣子)は安堵の気持ちを悟朗にも見せており、その姿を見て史郎は2人が夫婦であったことを再確認する。

 ポロッとそんな言葉を史郎がこぼすと、年末年始は絶対に帰ってきてほしいと久栄がいつもの調子で告げてくる。史郎はその場で答えず、実家で起こったことをそのまま賢二(内野聖陽)に伝えるのだった。同意するものだと思ってたが、賢二は「贅沢だ」と珍しく真剣な面持ちで言い放った。

 つい賢二を怒らせたと思った史郎は、悪いと思いながら彼の好物ばかりの晩御飯を食卓に並べた。賢二はすでに史郎とのケンカについては怒っていなかったのだが、史郎は今年の年末年始は実家に行くことを告げる。

■実家で感じ取る両親の覚悟

 約束通り実家に帰った史郎は、年始の準備を手伝いつつ家族との時間を過ごしていた。賢二は史郎がいなくて寂しがっているかと思えば、職場の年末の飲み会を早く切り上げて野菜たっぷりの「サッポロ一番」を堪能していた。食後に史郎から電話が掛かっていたのに気づき電話に出なかった理由を説明すると、「サッポロ一番なら仕方ない」と納得するのだった。

 年が明けた朝、ゆるやかに新年を迎えていた筧一家にお隣さんが挨拶にやってきた。そのお隣さんには小さい子どもがいたが、悟朗と久栄はかいがいしく2人の面倒を見ていた。その姿を見た史郎は、2人は自分たちに孫はできないことを悟っていると感じ取ったのだった。

 家族との時間を堪能した史郎は、お隣さんから大量にもらったお餅を分けてもらい帰宅した。さっそく餅を消費するために食事を作った史郎は、賢二と食事をしながらいつもの日常に戻っていく。そのとき「実家に帰ってよかった」と正直にもらすと、賢二は自身の父親とは音信不通になっていることなど、身内関係についてゆっくりと語るのだった。

 主役2人の家族関係が明るみに出た第5話。特に史郎の両親の覚悟を悟るシーンはもの悲しさがあると共に、史郎の生き方を受け入れたとも取れるシーンになっていた。またお正月あるあるの餅だらけの食事シーンも再現されており、最後に賢二が「餅以外の炭水化物が食べたい!」と発狂するシーンは、暗いシーンが続いたところのアクセントにもなっていた。

 ドラマ24「きのう何食べた?」はテレビ東京にて毎週金曜深夜0時12分から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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