有給休暇の取得義務化「良いと思う」企業は73% エン・ジャパン調査

2019年5月9日 21:30

印刷

現在、「有給休暇の取得」を促進していますか?(業種別)(画像: エン・ジャパンの発表資料より)

現在、「有給休暇の取得」を促進していますか?(業種別)(画像: エン・ジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 エン・ジャパンの調査によると、有給休暇の取得義務化について良いと思うと考えている企業が多い一方で、「ブラックな形態が増えるだけ」のように批判な意見もあることが分かった。

【こちらも】有給休暇の付与義務化、「賛成」6割 「人手不足で休めない」という声も

■有給休暇の取得義務化「知っている」企業が9割以上

 8日、転職サイトなどを運営するエン・ジャパンが「有給休暇の取得義務化」について行なったアンケート結果を発表した。これは同社の人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』を利用している企業を対象として、回答を得られた610社分を集計・分析したもの。有給休暇の取得義務化について「内容を含めて知っている」が63%、「概要を知っている」が33%、「知らない」が4%だった。

■73%の企業が「良いと思う」

 有給休暇の取得義務化について、「非常に良いと思う」が23%、「まあ良いと思う」が50%となり、合わせて73%が好意的にとらえている。具体的には、「働く側として当然の権利」「組織体系や業務量の見直しに繋がる」「取得が進まない現状では『義務化』は一助になる」などの意見が寄せられている。

■「ブラックな形態が増えるだけ」の意見も

 その一方で、「あまり良いと思わない」が21%、「良くないと思う」が5%となり、合わせて26%が批判的に考えていた。こちらの理由では、「年間計画が立てにくい」「サービス残業やサービス出勤、持ち帰り残業など、ブラックな形態が増えるだけ」「病気等に使える有給休暇が減ってしまう」「(繰り越して)長期休暇を取るなどの自由度を奪うことになる」などの意見がある。

■流通・小売関連で取得促進に遅れ

 有給休暇の取得を「促進している」と答えた企業は70%、「促進していない」は24%、「分からない」は6%だった。「促進している」と答えた企業の割合が高かった業種では、金融・コンサル関連が100%のほか、商社が79%、IT・情報処理・インターネット関連が77%で高め、メーカーは70%で全体の数字と同じだった。一方、サービス関連は68%、不動産・建設関連は65%でやや低く、広告・出版・マスコミ関連は59%、流通・小売関連は57%とさらに低くなっている。

■人手不足や業務量・仕事量が課題

 有給休暇の取得義務化にあたっての課題を尋ねたところ、最も多かったのは「人手不足」で65%だった。ついで「業務量が人に偏っている」が60%、「常に仕事量が多い」が36%、「社員が有給を取得したがらない」が31%、「管理職のマネジメント不足」が30%、「突発的な業務発生により休暇を取得しにくい」が29%、「職場に有給を取得しづらい雰囲気がある」が27%、「取引先からの要望」が21%などとなっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事