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企業の年金運用ガバナンス、受給者利益優先の企業は3割 企業統治に課題
あずさ監査法人が年金運用ガバナンスに関する実態調査を実施。年金担当は兼務者が8割以上。経営層への報告なし企業が4割。受給者利益優先取引の企業は3割にとどまる。ガバナンスに様々な課題。[写真拡大]
先月、格付投資情報センターが主要企業約100社の「確定給付型」企業年金の2018年度運用利回りを推計した結果、利回り平均は1.4%であったと発表した。18年後半に国内株価が急落したためだが、運用利回りのベンチマークは約2.5%と想定されており、このまま利回り低下が続けば企業負担が増大し何らかの改善が必要となる。
確定給付年金は運用利回りと独立に給付額が確定されることで年金受給者の生活の安定を保障するものだが、それだけに年金資金の運用は十分な利回りを確保出来るように管理されなくてはならない。
18年4月の確定給付企業年金法の改正で年金運用のガバナンス強化が図られたが、これに関連し、あずさ監査法人が連結従業員数300名以上の企業約1900社の確定給付型年金の運用担当者を対象として「年金運用ガバナンスに関する実態調査」を昨年秋に実施、その集計結果を3日に公表している。
調査結果によれば、80%以上の担当者が他の業務を兼務しながら年金運用に従事しており、年金運用業務への従事割合も50%以下と答えた者が9割を超えている。年金運用者の育成状況については、「母体企業が育成を支援している」と回答した企業は28%で3割に満たない。
人材育成の課題として「人材配置の重要性について理解が得られない」という声が目立ち育成に関する組織的対応の確立が課題だ。人材の配置に関する課題については「素養のある人がいても教育が困難」と答えた企業が44%と半数近くに達し、担当者は助力もない兼務状態で運用業務を行っている現状のようだ。
社内報告の頻度については、年1回は取締役会・経営会議へ報告するという企業が49%ある一方で、報告なしの企業も35%あり、企業によってバラツキがみられる。担当者が負担に感じている事項として「専門的内容を上位者に理解してもらうための工夫」が第1位になっており、まず経営層が理解を深める研修等も必要なようだ。
運用委託先の選定については「運用成績、能力を重視して決める」と答えたのは32%のみで大多数が「母体企業との取引関係を勘案、重視して決める」と答えており、受給者利益が最優先されているとは言いがたい。選定基準の明確化や評価システムの構築が必要だ。
外部専門家の利用については61%が「利用なし」と回答しており、担当者が孤軍奮闘している現況がうかがえる。年金ガバナンス確立には人事支援策をはじめ企業全体としての取り組みが必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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