安倍政権の「目標」を隠れ蓑とする「公約違反」を考える

2019年4月3日 11:57

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 安倍政権が掲げる目標が相次いで「時期延期」という事態に落ち込んでいる。例えば「将来につけを回す懸念が強い」と指摘される、プライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の均等化目標。3月28日、内閣府の分析でこんな結果が判明した。2020年度のPBの赤字幅は10兆1000億円。15年7月時点の試算値に対して6割方増えた。

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 安倍政権はこうした事実を既に把握しており、「2020年均衡化」目標を断念し「25年度」に先送りした。誤算の最大の要因は安易な高い経済成長率に基づいた「税収不足」。内閣府も10兆1000億円の赤字を「約5兆4000億円の税収不足による」と説明している。付け加えるなら「25年度目標変更」で実現される納得できるだけの現実的根拠は、示されていない。

 そんな報に接して頭に浮かんだのは、16年春先、自身のブログに「保育園落ちた、日本死ね」と記した若き母親の嘆き節だった。この母親は幼児を保育園に預けることができず結局、仕事を辞めざるをえない事態になった。いわゆる「待機児童問題」だ。現状はどうなっているのか。

 政権の代弁者である厚労省は「19年度末までに、必要な受け皿:約22万人分の予算を確保し20年度末に解消を図る」としたと記憶している。確かに表向き伝えられる待機児童数は減少している。16年4月1日の2万3553人が18年4月初めには1万9895人といった具合に、だ。だが言い換えれば「いまだ2万人近い待機児童がいる」のである。

 何故か。例えば認可・認証保育園を設立・運営する民間企業最大手のJPホールディングスでは18年度には17園を新設したが、19年度は12施設に抑えるとしている。要因は「保育士不足」。

 介護士と同様に「保育士不足」は指摘されている。相対的に低い「賃金・待遇」に加えての「重労働」が背景にある。私は昨今売れ筋となっているという堀江貴文氏の「僕たちはもう働かなくていい」-「AI×ロボット」と共存する生き方!を、斜め読みし「さもありなん」と思った。

 介護業界ではAIロボットの導入が進んでいる。保育園でもAIロボットが普及すれば、保育士の負担軽減につながり「不足」解決の一縷の望みとなろう。

 そう考えている矢先、こんな記事に出くわした。詳細は3月29日付けのSanKeiBizをご確認いただくとして、私立認可保育園を運営するグローバルブリッジHDではある国立大学と共同で保育AIロボット「ビーボ」を開発。保育現場で活用しているという。保育士負担の軽減や緻密な保育に役立っているという。

 新年度予算で前にも記したが「外相専用チャーター機予算5億円」が認められるなど「?」という予算が少なくない。保育用AIロボ開発・導入に支援金(予算)を給付するほうが、より世の為人の為と考えるのは私だけだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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