子供たちの算数に対する不安が明らかに 他の教科へも影響か 英大学の研究

2019年3月21日 16:03

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●子供たちのあいだに存在する算数不安

 ケンブリッジ大学の研究によると、算数が原因の不安感は確かに子供たちのあいだに存在しており、怒りから絶望などさまざまな感情を誘発しているという。また算数が原因となるこうした不安感から、他の教科に対する興味や熱意を失うという悪循環の可能性も懸念されている。

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 ケンブリッジ大学の研究者たちは、学校側がこの問題に対して真摯に取り組む必要があると警告している。

●8歳から13歳まで、2700人を調査

 研究では、8歳から13歳までの児童を対象とし調査を実施した。英国の児童1700人、イタリアの児童1000人がその内訳である。そして、全体の10%の生徒が「算数は苦痛」であることが明らかになった。また不安や緊張、欲求不満を覚えるにとどまらず、心臓の動機や息切れといった肉体的な症状を訴える生徒も確認された。

 研究者たちはその調査を経て、算数不安が両親からのプレッシャーと教師による複雑な教授法がその主要因ではないかと推測している。とくに英国の児童たちは、算数がほかの科目よりも困難と感じており、ほかの科目に対する自信の欠如にもつながっていることが顕著になったという。また算数の試験の不出来、クラスメートからのいじめ、6年生で実施される国家試験のプレッシャーなど、さまざまな事象が「不安」の要素となっている。

 しかし一方で、これらの不安を訴えた生徒のうち77%は、平均点以上の成績をおさめているという結果も報告されている。

●英国における「数学の危機」

 また、小学校から中学校へと移行する過程でも、数学に関しては宿題や授業の内容について困難が伴うと答えた生徒が多かった。

 ケンブリッジ大学ニューロサイエンス研究所では、今回の研究は英国内の「数学の危機」が発端であると語っている。2014年の英国の調査では、読解力が低い成人は半数以下であったのに対し、数学のスキルは5人中4人が低いレベルであると報告されている。

●根底にあるのは専門教師の不足

 今回の研究の結果を受けて、研究に参加したディーンズ・シュックス博士は子供たちの算数に対する不安を取り除くことで、学校生活の質の向上をはかりたいとしている。

 また、中学の校長が組織するASCLの会長ジェフ・バートン氏は、この問題の根底には深刻な専門教師の不足があると主張している。学校の算数教育が、それを専門としていない教師や臨時のスタッフによって行われてきた結果であるとしている。

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