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エアバスA380 (c) 123rf[写真拡大]
エアバスA380とボーイング787の勝負は決している。2019年2月、販売不振のためエアバスはA380機の生産中止を発表した。2021年の引き渡し機を持って生産を中止するようだ。ボーイング747を凌ぐ世界最大の超大型機として開発されたエアバスA380の狙いは、1度に多くの乗客を運ぶことで1人当たりの運賃を下げる、あるいは航空機会社の利益を上げる試みだった。その狙いは、ジャンボ以来の在来の概念で考えられていたものだった。
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「世界最大の超大型旅客機」ともてはやされた「エアバスA380」の生産中止で、共同開発者の立場であるドイツでも、最大8億4800万ドル(7億5000万ユーロ)の損失リスクがあると試算している。ドイツ政府、経済省は、融資残高がエアバス社本体に対して約6億3000万ユーロあり、このほかにサプライヤーに対する融資と、貸付金に対する金利などが5000万ユーロ、合わせて6億8000万ユーロあるとされた。
エアバスA380がボーイング787に敗れたことは、世界の「ハブ空港の重要性」を大きく下げる結果だった。それは、“ジャンボ旅客機の終焉”とも言える現象で、ボーイング747が築いた一時代の終わりである。世界の幹線で大量の顧客を一度にハブ空港へ運び、コストを下げて航空会社の採算を良くする大型機の方法は、燃費の良い中型長距離機で世界の各空港に直接運ぶ便利さにかなわなかったのだ。これは、お客の側からは理にかなったものだ。つまりエアバスA380は、「大鑑巨砲主義」の最高峰であった「戦艦大和」と化したのだ。
この現象を「無用の長物」と言って、昔から考え方が陳腐化することを指している。エアバスは、「商売」として無用の長物を商品化してしまったのだ。この失敗を犯すことは、直ちに航空機製造企業の寿命となってしまう危険がある。それが厳しい航空機製造企業の置かれた宿命だ。しかしエアバスは、ドイツ、フランスなど政府経営とも言えるので安心だ。
ハブ空港での乗り換えを必要とせず各空港への直行便が増えることは、日本と韓国の空港の重要性争いでも日本に有利に働いた。韓国の「仁川(インチョン)国際空港」のサービスは世界トップと評価されており、地理的に、中国の国内線にも日本の国内線にもつながる位置にある。そのため日本の客も一端、仁川国際空港に出てヨーロッパ航路に乗り換えるなど、ハブ空港の力を見せつけてきた。しかし大量に乗客を運ばなくとも採算が良いボーイング787の登場は、客側の利便性から直行便が注目され、航空会社もA380のような超巨大機を必要としなくなってしまい、ハブ空港の重要性も低くなった。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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