ホテル・旅館業の6割超が従業員不足 日本政策金融公庫調査

2019年3月12日 20:46

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 日本政策金融公庫の調査によると、飲食業や宿泊業など生活衛生関連企業の多くで従業員が不足する状況が続いており、身内や知人等の紹介などを活用する企業が多いことが分かった。

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■従業員の「不足」が4割近くに

 11日、日本政策金融公庫が生活衛生に関連した企業の雇用動向に関するアンケート調査結果を発表した。これは、飲食業や理・美容業、宿泊業、クリーニング業など3,290企業を対象として訪問面接調査を行ったもので、回答の得られた3,061企業分を集計・分析している。

 従業員の過不足感を尋ねたところ、「不足」と答えた企業の割合は39.8%、「適正」は56.7%、「過剰」は3.4%だった。前回の2017年調査では「不足」が39.9%、「適正」が56.4%、「過剰」は3.7%だったため、わずかながらも改善したとも見ることができるものの、不足状況が固定しつつあるとも考えられる。

■ホテル・旅館業は「不足」が62.1%

 業種別で「不足」が多いのは、「ホテル・旅館業」の62.1%、「食肉・食鶏肉販売業」の44.7%、「映画館」の44.0%、「飲食業」の43.8%など。「過剰」が多いのは、「美容業」の6.2%、「食肉・食鶏肉販売業」の5.9%、「クリーニング業」の5.0%、「氷雪販売業」の3.7%など。全ての業種で「不足」が「過剰」を上回っており、特に「ホテル・旅館業」では「過剰」は0.6%のみとなっていることから、不足の「62.1%」が特に目立つ。

■従業員の増減は「変わらない」が圧倒的

 従業員の増減動向は、「減少した」は15.2%、「変わらない」は79.2%、「増加した」は5.6%だった。前回の2017年調査では、「減少した」と答えた企業の割合が19.0%となり、ここ10年で最も高かったが、そこから3.8ポイント改善した格好。ただし「増加した」は前回の5.2%から0.4ポイント増えたのみで、「変わらない」が前回の75.8%から増えている。

■多くの業種で「減少」が「増加」を上回る

 業種別で「減少した」が多いのは、「ホテル・旅館業」の23.7%、「映画館」の20.0%、「飲食業」の19.0%、「食肉・食鶏肉販売業」の15.1%など。反対に「増加した」が多いのは、「食肉・食鶏肉販売業」の15.1%、「ホテル・旅館業」の13.6%、「氷雪販売業」の9.3%、「映画館」の8.0%など。

 「食肉・食鶏肉販売業」と「氷雪販売業」の2業種でかろうじて「増加した」と「減少した」が同じ値となったのみで、他の全ての業種で「減少した」が「増加した」を上回っている。

■従業員不足は「経営悪化に影響あり」が約7割

 従業員が「不足」と答えた企業に対して経営悪化への影響を尋ねたところ、「かなり影響がある」は19.2%、「ある程度影響がある」は50.7%で、7割近くで影響が出ていることになった。以下、「どちらともいえない」は14.0%、「あまり影響はない」は11.0%、「影響はない」は2.7%、「分からない」は2.4%だった。

■従業員の「応募がない、少ない」が8割超

 従業員の確保がしにくくなった理由を尋ねたところ、「応募がない、少ない」が81.8%と圧倒的。ついで「待遇面(給与、休暇等)の水準が高い」が37.0%、「雇用した人が定着しない」が30.9%、「能力等で求める人材がいない、少ない」が29.0%、「高齢化した従業員が辞めてしまう」が20.8%、「従業員が独立、他社に引き抜かれる」が6.3%など。

 従業員の採用で効果的な取り組みを尋ねたところ、「身内や知人等への紹介依頼」が42.2%と圧倒的に多く、他は、「ハローワークへの求人」が22.8%、「求人サイトの活用」が20.4%、「学校への求人」が13.3%などとなっている。

■従業員定着への取り組み

 従業員の定着化に向けた効果的な取り組みを尋ねたところ、「賃金の引き上げ」が47.1%、「休日・休暇の増加」が34.9%、「勤務時間の削減」が27.9%、「職場内コミュニケーション活性化」が24.7%、「福利厚生の充実」が13.5%、「短時間労働制の導入」が13.1%など。

 ただし、従業員不足への対応を尋ねたところ、「新規採用」の38.2%、「営業時間の短縮」の32.5%についで、「効果的な手段が見当たらない」が31.4%となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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