ユリウス、2019-20年秋冬コレクション発表 拘束と分断によって生まれる歪み

2019年3月7日 09:49

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記事提供元:ファッションプレス

 ユリウス(JULIUS)は、2019-20年秋冬コレクションを発表した。

■カタストロフィ&デジタルがテーマ

 コレクションのイメージは、カタストロフィとデジタル。体制によって拘束され、フィジカルもメンタルも分断されている世界の現状を投影した。無骨なサイバーパンクの雰囲気と、ハードコアなフェティシズムを織り交ぜたウェアは、喧騒に包まれた東京の都市空間を背景に、強い主張を放っている。

■切れ込みが示す“分断”

 テーマを象徴するディテールは、コートやジャケットに施された“切れ込み”。オーバーサイズのダウンコートには、布の流れに逆らうような角度で切れ込みが入っている。重力で下へと落ちようとする生地の動きによって、服に生まれるのは歪み。予定調和に逆行するようなアナーキーさが見て取れる。

■拘束具のようなボディバッグやウェビングベルト

 ダウンコートにはウェビングベルトが取り付けられており、前を閉めると異なる表情を見せる。生地の広がりに外部から制約を与えるウェビングコードは、社会の閉塞感を表しているかのようだ。様々なボディバッグや、パンツの上からレイヤードした半身のパンツも同様に、ある種拘束具であるかのようなイメージを思い起こさせる。

 さらに、パーカーにプリントされたグラフィックや、無秩序な配置でポケットをあしらったベストなども退廃的なムードを描き出している。

■繊細な光沢

 また、素材のシアーな質感も今シーズンの特徴。レザーのライダースジャケットに合わせたブラックのパンツは、造形の複雑性と光沢感が相まってノイジーな印象に。アシンメトリーなパターンのレッドのコートは、繊細な光を纏いながら、しなやかにドレープを描いていく。輝きの繊細さは反骨精神と同調しながら、分断された世界に対する緊張感を高めているかのようだ。

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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