コメ兵、鑑定精度97%の「AI真贋」を今春導入 海外展開も視野に

2019年2月14日 17:02

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「AI真贋」を活用した査定イメージ(画像:コメ兵の発表資料より)

「AI真贋」を活用した査定イメージ(画像:コメ兵の発表資料より)[写真拡大]

 リユース大手のコメ兵(名古屋市中区)は12日、現在開発を進めている「AI真贋」を2019年春から実店舗に導入すると発表した。名古屋本店から順次導入を進め、世界展開も視野に展開していきたいとしている。

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 高級ブランドを扱うリユース業界では、長年偽ブランド商品に悩まされてきた。いくら対策を施しても、その裏をかくように新たな偽ブランド商品が出回るというイタチごっこが繰り返されている。近年では、正規品とほとんど見分けがつかないスーパーコピーと呼ばれる精巧なものも流通しているという。財務省が昨年9月に公表した2018年「1月から6月までの税関における知的財産侵害物品の差止状況」によると、前年同期に比べ偽ブランド商品などの輸入差止件数は10%ほど減っているものの、差止点数は141%も増加し65万点を超えている。

 こうした状況は、リユース店舗での買取業務の負担増加につながり、人材育成にも影響する。コメ兵では、こうした背景のもと、昨年4月からブランド商品の真贋を鑑定できるAI技術の開発に取り組んできた。AI真贋はまだ研究段階ではあるが、ルイ・ヴィトンのバッグや財布、小物について、97%の鑑定精度だという(2019年2月時点)。本格導入時にはさらに精度を高め、他のブランドやアイテムにも展開していくとのこと。

 今回、開発から1年という短期間で導入できたのには、優秀なエンジニアのほかに、専門知識を有する専門家や真贋を見極める「匠」の存在、豊富な商品データなど、AI開発に最適な条件がそろっていたことがあるという。

 コメ兵では、AI真贋の導入により買取業務の負担を軽減し、顧客とのコミュニケーションに時間をかけることができると見込んでいる。また、鑑定士の育成期間を短縮でき、グローバル展開における現地での鑑定士育成という問題も解決できるとしている。

 今後は、こうした取り組みを通して信頼できるリユース市場を世界に広めていくとともに、テクノロジーを利用して健全なリユース市場を創造し、持続可能な社会の実現を目指していきたいとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

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