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治五郎の「スポーツ」にかける情熱が日本を動かす!「いだてん」第6話レビュー
■本格的に主要人物がクロスし始めた6話
オリンピック予選選考会にて金栗四三が異例の走りを見せ、周りの人間たちの度肝を抜いた5話。いよいよ四三がオリンピックに出るのかと思いきや、日本がオリンピックに出場するためには多くの問題が残っていることが第6話冒頭から語られた。その中には、まだまだ「スポーツ」という概念が根付いていないため、苦心する治五郎の姿もあった。
【前回は】ついに第1話の真相が明かされる!「いだてん」第5話レビュー
■四三、まさかのオリンピック辞退!?
羽田で開かれたオリンピック選手予選から1カ月が経っていた。嘉納治五郎(役所広司)たち運営委員たちは出場選手を決める必要があったが、渡航費用および滞在費用の問題がクリアできなかった。もし5人選べば1人あたり1000円(現在の価値で1千万円程度)掛かるため、とても出せる状態ではなかった。
しかも、金栗四三(中村勘三郎)が予選会で出した記録は誤った記録でないかと新聞記事に書かれてしまい、世論もいい方向には流れていない。もし費用を出せたとしても1人が限界という結論になり、好記録を出した上に資産もある三島弥彦(生田斗真)にしようと考える。
一方で、治五郎は四三を呼び出して日本初のオリンピック選手として選んだことを伝える。しかし、四三はそもそもオリンピックのことを知らず、出場した予選会もただ自分の実力を確かめるために参加したと言い出す。治五郎は四三の発言に呆れると共に、期待していた分だけ怒りをぶちまけてしまった。
さらに、弥彦も出場はできないと言い出す。彼は家族と文部科学省から釘を刺され、出場は叶わないと治五郎の申し出を蹴ってしまうのだった。四三にしろ弥彦にしろしがらみに囚われ、治五郎の考える「スポーツ」の精神は未だ培われていないことにがく然し、悲しさを隠さずにはいられなかった。
■治五郎の言葉に落涙する四三
さらに悪いことに、中国で辛亥革命が起こったことで留学生たちは清に帰郷したいと暴動寸前の騒動が起こる。治五郎は留学生に対して学費は全部出すことを約束し、約100名の学生を日本に留めることに成功した。しかし、そのせいでさらに治五郎の懐は圧迫され、もはやオリンピックどころでは無くなって来た。
そんなとき、先日治五郎を怒らせたことを気に病んでいる四三がやってくる。彼は優勝カップを返しに来たのだが、治五郎は冷静になって四三にオリンピックがどのようなものか語り始める。その中には50年前に日本が開国し、世界に渡った人間がいたことも語られた。
治五郎は四三に「なにかをはじめて行う人間は辛いことがある。だが、それでもはじめなければいけない」ことを力説した。そもそも治五郎に憧れていた四三はその話を聞いて鼻水まで流すほど感動し、オリンピックに出場することを決めるのだった。しかし、お金に余裕のない治五郎は彼に自費での出場を提案するしてしまうー。
■笑いあり涙ありとなった6話
冒頭の四三の「オリンピック出ません」発言にはじまり、治五郎のオリンピックに掛ける思いに触れることになった第6話。役所広司の演技もあり、治五郎が四三を説得するシーンは大河らしい人間ドラマとなっていた。
また、四三がオリンピックに向けて練習に使ったコースと語りである志ん生、そして第2部として用意されている昭和時代がリンクする部分があり、こちらも大河ドラマを感じさせる演出と言えそうだ。たしかに時代がどんどん変わるので分かりづらいところもあるが、全体的な完成度は高いと思わされる。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る)
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