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ガリバー旅行記に登場のリリパット人やブロブディンナグ人に関する生理学的試算
headless曰く、 ジョナサン・スウィフトの小説「ガリバー旅行記」に登場するリリパット人やブロブディンナグ人の生理学的特徴について、日本学術振興会学術システム研究センター顧問の黒木登志夫氏が試算している(論文、Ars Technica)。
ガリバー旅行記では主人公のガリバーが小さな人々の国「リリパット」や大きな人々の国「ブロブディンナグ」を訪れる。論文では小説の描写からリリパット人の身長をガリバーの12分の1、ブロブディンナグ人の身長をガリバーの12倍とし、それぞれBMI値を23と仮定した試算となっている。ガリバーの身長については小説で6フィート未満との描写があり、論文では当時のイングランド男性の平均身長とされる1.71mをガリバーの身長と仮定している。なお、リリパット人についてはガリバーが6人を片手でつかみ、うち5人をポケットに入れるなど、もっと小さいと思われる描写もみられる。
リリパット国の巻ではガリバーとリリパット人の身長比を12:1として、ガリバーはリリパット人1,724人分の食糧が必要だと説明されている。これは身長比の3乗(1,728:1)の書き間違いか計算ミスだと思われるが、人間が必要とするエネルギー量が体重の3/4乗に比例し、体重が身長の2乗に比例することから、1日に必要なカロリーはリリパット人が57kcal、ガリバーが2,400kcal、ブロブディンナグ人が100,800kcalとなる。つまり、ガリバーに必要な食料はリリパット人の42倍、ブロブディンナグ人の42分の1だと論文は指摘する。
このほか、心拍数と呼吸数はリリパット人がガリバーの3.5倍、ブロブディンナグ人がガリバーの3.5分の1、寿命はリリパット人がガリバーの3.5分の1(ガリバーの寿命を60年としてリリパット人は17年)、ブロブディンナグ人が3.5倍(同210年)と試算されている。なお、リリパット人とガリバーの血圧は同じ(120mmHg)だが、身長が20mを超えるブロブディンナグ人は脳に血液を送る必要があることから250~880mmHgと推定されるとのこと。
論文では必要なエネルギー量から食料の量を割り出しているが、リリパット人やブロブディンナグ人の内臓もガリバーと同じ比率だとすれば、胃の容積はリリパット人がガリバーの1,728分の1、ブロブディンナグ人が1,728倍となる。そのため、ガリバーが満足する量の42分の1の食糧をリリパット人が食べることや、ブロブディンナグ人が満足する量の42分の1の食糧をガリバーが食べることは難しいと思われる。なお、リリパット人については、女性が12歳で結婚可能な年齢になるとの描写もみられる。
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