イオン、三菱商事との提携関係を解消へ

2018年12月30日 17:22

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 流通最大手のイオンは28日、筆頭株主である大手総合商社の三菱商事との包括業務提携を2019年2月末に解消すると発表した。三菱商事から、同社が保有するイオンの株式の一部を売却したいとの意向を受けたのが解消のきっかけ。両社は、2008年12月に包括業務提携契約を締結。グローバル競争に打ち勝つための協業関係の構築と三菱商事によるイオン株の買い増しを行うという内容だった。今回、三菱商事からイオン株の一部売却の意向を受け、イオンは包括業務提携契約を継続する意義がなくなったと判断した。

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 三菱商事は、2008年12月の包括業務提携契約後にイオンに約400億円を出資して筆頭株主となり、2018年8月時点で、イオンの発行済み株式の4.64%を保有していた。三菱商事の広報担当によれば、今回の売却は政策保有株見直しの一環として実施するものとしており、12月28日までに保有株式は2.34%へ減らしていた。

 提携契約当時、イオンは業績が低迷しており、三菱商事グループが持つ国内外から食料品などを調達する仕組み作りや海外出店等のノウハウを活用し、経営の改善を図った。三菱商事もグループ会社とイオンとの取引の拡大や、協業を通した小売り事業の強化を狙っていた。両社は、通販や衣料品専門店での合弁事業や中国の食品スーパー事業などで協業してきたが、効果は限定的だった。解消を機に、三菱商事は傘下のコンビニエンスストアであるローソンにリソースを集中させ小売事業の強化を目指す。

 イオンは、直近数年に渡って業績が伸びており、2019年2月も増収増益を予想。イオンの広報担当によれば、提携の成果は一定程度出て、海外の調達先の拡大やデジタル技術を持つベンチャー企業との提携なども自社で進めることができるとのこと。好業績に加え、自前の調達網が拡大しており、三菱商事との提携を維持する意義が弱まったと判断したものと考えられる。三菱商事とは1960年代から協力関係があり、取引自体は今後も続ける方針。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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