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キャッシュレス決済、戦国時代を制するのはどこか? メリットは何か? (2-1)
12月初めに注目を集めたのは、PayPay(ペイペイ)が19年3月末までの予定で始めた「100億円あげちゃうキャンペーン」だった。利用が集中したことによるトラブルの発生が続いたり、身に覚えのない不正な請求が取り沙汰されたうえ、わずか10日間で原資が底をつき終了してしまうという、あっけない幕切れを迎えてしまったが、キャッシュレス決済への関心を集めたことは間違いない。
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10日間で190万人の会員獲得はすごいという評価がある反面、トラブル・不正利用・あっけなさの三拍子がどんなイメージを残したのか、懸念する声もある。100億円という大金にこんな使い方があったのかと驚いた人も多いだろう。
2018年はキャッシュレス決済に於ける競争の火ぶたが切って落とされた年である。100億円の金額が持つ迫力には霞んでしまうが、参入各社がそれぞれ工夫を凝らしたキャンペーンを行っている。ポイント還元に主力を置いているのが、LINE Pay(ポイント3.5~5%)、Kyash(キャッシュバック等2~3%)、楽天ペイ(0.5~1.5%)、Amazon Pay(アマゾン以外の実店舗で初回300ポイント)、d払い(買物回数で最大20倍のdポイント)、PayPay(今はポイント0.5%)などで、Origami Payは店ごとに割引サービスが設定されている。
クレジットカードやデビットカードを組み合わせて使えば、還元ポイントをダブルやトリプルで手にできる時期でもある。こんなことがいつまでも続くとも思えないが、今なら組み合わせ利用を工夫すると4~5%前後の還元ポイントゲットは可能なようだ。
これら各社によるキャンペーンは、キャッシュレス決済戦国時代の覇権奪取を目的とした他社つぶし、シェア獲得が大きな目的だ。加盟店手数料を無料にした上で、利用者にポイント還元をするという消耗戦に突入している会社まである。無料期間が過ぎれば再度手数料を求めるのか、手数料以外のビジネスモデルが成立するのかまだ見えていないが、体力のない会社が競争から脱落していくことは間違いない。手数料を当てにしないビジネスモデルとして有力なのは、キャッシュレス決済の購買情報を蓄積して、顧客の行動を分析可能な状態として把握することだ。的を絞った情報を効果的に配信することが可能となれば、そのデータベースが価値を認められ、手数料を超える商材となる可能性はある。(2-2に続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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