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花王、肌表面に極微細繊維膜を形成する技術開発 新たなスキンケア方法にも
肌の上に形成された極微細繊維膜(花王発表資料より) [写真拡大]
花王は、人のどのような場所にも、その三次元形状に合わせて簡単に、極微細繊維の積層膜を形成する技術「ファインファイバー(Fine Fiber)技術」を開発した。極微細繊維は、直径が1ミクロン以下と極細のため柔らかく、肌の上に積層して膜としても肌になじむ。また膜は、繊維の素となる化粧品用のポリマー溶液を、専用の器具で肌に噴霧することで形成する。そのため、身体の様々な三次元形状の場所に、希望の広さの膜が形成できるようになった。
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ファインファイバー技術で作られた極微細な繊維の積層膜には、成膜原料に加えていた化粧品製剤を繊維の間に保持して、肌に長時間供給し続ける機能と、繊維のすきまを通して肌の水蒸気を適度に逃がす効果もある。スキンケアでは、これまで化粧品製剤を、いかに肌表面に均一に、かつ長時間保持するか、といった課題があったが、今回の技術で、これまでの課題を解決する可能性が見えて来た。すなわち、ファインファイバー技術と、花王がこれまで開発してきた製剤技術とを組み合わせて用いることで、これまでにない、新たなスキンケア、メイクなどの提案に繋げることが期待できる。
今回開発したファインファイバー技術は、不織布製造で利用されるエレクトロスピニング法を応用した。花王では、成膜条件と、装置の小型化を研究することで、今回の技術を完成させた。ファインファイバー技術では、繊維の素となるポリマー溶液をプラスに帯電させ、マイナスに帯電させた肌の表面にノズルから噴霧すると、プラスのポリマー溶液がノズルから引き伸ばされながら糸状に排出され、肌上に薄く広がっていく。その繊維の層は、端に行くほど薄くなるため、よく肌になじみ、はがれにくいという特性も実現できたという。
花王では、今回の成膜技術は、将来の治療分野への応用も想定して研究開発を進めるという。
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