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植物の自他識別能力を農業に応用、キクイモで生産量増を実証 東大の研究
研究の背景の概要。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]
最近の研究によると、植物にも自己と他者を識別する能力がある。これを栽培法に応用し、収穫量の増加につなげようという研究を東京大学がキクイモを用いて行った。
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キクイモは北米原産のキク科ヒマワリ属の多年草で、名の通り芋が食用になる。効能はここには書かないが近年健康食品として注目を浴びており、味はアーティーチョークに似ているということからエルサレムアーティーチョークの異名もある。花はキクに似て黄色いことからこの和名がある。
さて、キクイモもイモであるのでイモから増やすことができる。イモから増やした個体は遺伝的には同一の存在である。キクイモが自他を識別する能力を持っているのならば、別のキクイモ株(他株)と、同じイモから育ったキクイモ株(クローン株)の区別が付けられるはずであり、隣同士に他株を植えると、収量が低下すると予測できる。
また逆に、クローン株同士を隣合わせて栽培すれば、個体間の競争が抑制され(具体的にどういう競争があるのかと言うと、根の張り方などに影響があるという)、収量は増加すると予測される。以上のことを実験的に確かめたのが今回の研究である。
結果として、鉢でキクイモを栽培する研究を行ったところ、クローン株同士のペアは他株同士のペアよりも根を多く張ることは確認された。これによって、キクイモが他株とクローン株を見分けられることも実証されたわけである。
ただキクイモは草丈2mに成長する草であるので鉢での研究には限界があった。そこで、圃場での研究が合わせて行われた。結果として、やはりクローン株同士のペアは高い収穫量を上げられることが実証された。
今回の発見は今後の農学への応用を見据える上で重要な結果であり、また、実験室レベルでしか確認されていなかった植物の自他識別能力が野外環境でも実証されたことにも大きな意義があるという。
なお研究の詳細は、Evolutionary Applicationsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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