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アボカド由来の脂肪酸が白血病の抗がん剤の効果を高める、順大などの研究
単独培養条件下の急性白血病がん細胞では、avocatin Bの脂肪酸代謝阻害によってストレスに応答するAMPK活性が上昇し、エネルギー調節に関わるmTORシグナルの抑制が生じることによって細胞増殖が抑制されると同時に、活性酸素が増加し細胞死が誘導される。(画像:順天堂大学発表資料より)[写真拡大]
アボカドから抽出したavocatin Bという脂肪酸が、白血病におけるがん細胞の増殖を抑制し、また抗がん剤(白血病化学療法薬)と併用することでその効果を高めるという研究報告がなされた。順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学の田部陽子特任教授らの、米国MDアンダーソンがんセンターのマリナ・コノプレバ教授、カナダ・ゲルフ大学のポール・スパヌオロ博士らの共同研究によるものである。
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先に書いておくが、この話は「アボカドを食べるとがんの予防になる」と言ったような類ではないので、注意いただきたい。
さて、白血病はがんの中でも、高齢者に多くみられるがんである(若年性の白血病はそれはそれで非常に恐ろしい病であるのだがそれについてはここでは触れない)。高齢者である都合上、既に別の既往症を持っていたり、臓器の機能が低下していたりして治療の選択肢が制限され、十分な治療ができないということがよくある。そこで、高齢者にも適用できる、副作用の少ない治療法が求められている。
白血病のがん細胞は、骨髄の中で独自のエネルギー代謝を行うことで、抗がん剤への耐性を獲得することが知られている。これは、加齢にともなって増加する骨髄脂肪細胞との相互作用による脂肪酸の代謝の亢進に依存している。
これに対し、最近になって発見されたavocatin Bという脂肪酸は、脂肪酸代謝を阻害する「奇数炭素脂肪酸」であるため、がん細胞のエネルギー代謝を阻害する可能性が考えられた。それを実証するのがこの研究の目的である。
結果、細胞計数法と細胞周期解析によって、単独培養された白血病がん細胞の細胞死誘導や細胞増殖阻害を起こす性質がavocatin Bにあることが確認された。
avocatin Bの優れた点として、副作用が極めて少ないことが上げられる。このような脂肪酸によるがんの代謝制御はほかの領域でも見つけられるかもしれず、今後の研究が期待されるところである。
なお研究の詳細は英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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