株式投資は博打などではない (4)

2018年11月19日 11:41

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 前期で17期連続増配のユニチャームは、いまや生理用品や紙おむつで海外でも実績を積み重ねている企業であることは周知の通り。が、ユニチャームは、生理用品や紙おむつの製造機械も自ら作っているわけではない。となると市場が拡大している生理用品・紙おむつの製造機械メーカーはどこか、ということになる。

【前回は】株式投資は博打などではない (3)

 日本に世界の三大メーカーの1社が存在している。瑞光が当該企業である。ジョア(米国)・ファメカニカ(イタリア)と瑞光が、世界市場のそれぞれ20~25%を占め競合状態にある。瑞光では、「P&G(アジアではユニチャームと市場を二分するライバル)などにも納入している」とするが、ユニチャームの海外進出にとりパートナーであることも事実。例えばユニチャームが南米進出を決定したことに先立ち、中国に次ぐ海外の生産拠点としてブラジル工場を稼働させている。前々期から前期にかけ利幅の薄い難易度の高い案件を取り扱い営業利益の低下を招いたが、それも一巡。今2月期は「174.8%の営業増益」計画で立ち上がった。長期増配企業を調べていくと、例えば瑞光のような興味深い企業(株)が浮上してくる。また連続増配企業を物差しにして「資産形成株」を発掘する場合、8期・9期といった10期を超える連続増配には至っていないが「仲間入りの可能性が高い企業」を検証するのも一つの方法といえよう。

 またこんな角度から、資産形成株を発掘する方法もある。株式市場には、「不足しているものを作っている企業は買い」という経験則が語り継がれている。いま「不足」が指摘されているものに「保育園」がある。メディアは「待機児童問題」といった形で報道している。こうした企業に目を向けるのも一考に値すると考える。

 厚労省の資料によると、2017年10月1日時点の「待機児童(保育園に入園できずにいる3歳児以下の乳幼児)」は前年同期に比べ7695人増の5万5433人と依然とし高水準のまま。安倍政権は成長戦略の一環として女性の社会進出の加速を謳っている。その後押し策として「2013年度から2014年度の間に、20万人分の保育の受け皿を確保する」との方針を示したが、「待機児童問題が着実に解消に向かっている」という報道には残念だがいまだ接していない。

 待機児童問題で注目したい企業にJPホールディングスがある。国・自治体が認める認可認証保育園を中心に前3月期末「保育所:183園」「学童クラブ:171施設」等を展開している。事業所内保育施設の運営も手掛けている。斯界首位の企業。16年3月期まで11期連続の増配を続けていたが、前々期に「同業他社買収」等の費用負担から減益となり連続増配は急停止(減配)。だが前期から増収増益・増配状況に転じ、今期も「41%の営業増益」計画で立ち上がった。

 元証券マンで創業者の山口洋(元社長)の「セクハラ疑惑問題」に始まる「退陣」「訴訟合戦」で一時「泥」を被ったがようやく和解が成立。再度、右肩上がりの展開が見込まれている。ちなみに会社四季報は20年3月期の営業利益を今期会社計画比24.5%増と独自予想している。11年に1対2/13年に1対5の株式分割を実施したことから株価は3桁台(今年の高値:420円)。時価は300円出入りと調整局面。不足するものを供給する企業の押し目買い・中長期保有に魅力を覚える。

 そして同様に株式市場には「経営者を買え」とする経験則がある。次回はそんな経験則から「株式投資は博打などではない」を考えてみたい。(敬称、略)(記事:千葉明・記事一覧を見る

続きは: 株式投資は博打などではない (5)

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