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富士通セミ、電子ペーパータグ新技術を発表 FRAMの強みを物流改革に
UHF帯 RFID バッテリーレス電子ペーパータグ(写真:富士通セミの発表資料より)[写真拡大]
富士通セミコンダクターは10日、台湾E Ink社と共同で、電子ペーパーディスプレイの表示をUHF帯無線給電により、バッテリーレスで書換えることが可能な技術を開発したと発表した。
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半導体業界で有名な経済則、それが半導体のスケーリング則だ。スケーリング則とは、半導体の寸法を縮小(スケーリング)することにより、価格、性能、消費電力の全ての面で有利になる。例えば、寸法を1/2にすると、半導体チップの面積は1/4に。つまり、同じウェハから4倍の数のチップが取れ、原価は1/4になる。寸法が1/2になれば、電子が移動する距離も半分に。つまり性能が2倍になる。更に、駆動する電圧も半分で済むことから、消費電力も1/4(電圧の2乗)になる。
半導体の集積度を向上することで、半導体市場に大きな利益を生みだした。この経済則と同じく有名な経験則が、「半導体の集積度は18カ月で2倍になる」というムーアの法則だ。この高集積化された半導体技術に支えられて、現在の電子機器の躍進がある。
ところが、このスケーリング則の面積・性能・消費電力の全メリットを全ての半導体が享受できる訳ではない。半導体素子は大きくCPUなどの演算素子とメモリなどの記憶素子に分かれる。電子の移動で性能が決まる素子が性能の恩恵を受ける。演算素子やレジスタやキャッシュと呼ばれる記憶素子などだ。他方、電荷の蓄積などで記憶するメモリのアクセス性能は、2桁から6桁も遅い。演算性能が1ナノ(10億分の1秒)以下なのに対し、常に電源供給が必要なDRAMのアクセス時間は100ナノ秒、USBなどで馴染のある電源供給が不要なフラッシュメモリの書き込み時間は100ミリ秒と遅い。
今回の発表はFRAM(強誘電体メモリ:Ferroelectric Random Access Memory)の応用アプリの紹介だ。FRAMは電源供給が不要。書き込み時間も100ナノ秒程度の能力を持つ。
本ソルーションは、10月16日から19日に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2018」のE Ink Japanブースにて展示する。
●UHF帯 RFID バッテリーレス電子ペーパータグの特長
従来の電子ペーパータグでは、予め内部メモリにそのデータを保持しておく必要があった。これでは、使い捨ての紙タグと機能は同等で、かつ高価なものになる。
今回の発表は、外部から電子ペーパータグの内容を書き換えるソルーションだ。バッテリーレス電子ペーパータグは、UHF帯 RFID(Radio Frequency Identifier) LSI「MB97R8110」とFRAM LSI「MB97R8110」で構成。台湾E Ink社と共同開発したリファレンスボードの提供も開始し、このタグの製造開発を促進する。
●FRAM(富士通セミ、バッテリーレス電子ペーパータグ)のテクノロジー
FRAMを量産するメーカーは、富士通セミやロームのグループ企業ラピスなど限られたメーカーである。それは、このFRAMに適したアプリケーションが少ないことと、DRAMやフラッシュのようなスケーリングに限界があるからのようだ。
今回の発表は、物流改革をもたらすソルーションであり、その市場規模は大きい。そのための、リファレンスボードの提供であろう。
課題はメモリに付き纏う2社購買の慣習であろうか。メモリの安定供給と価格交渉の観点から、メモリはその外部仕様を統一してきた。バッテリーレス電子ペーパータグもその市場が大きければ大きいほど2社購買を要求される。リファレンスボードの仕様公開は、それらを見据えているとも考えられる。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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