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国際石油開発帝石の豪州での快挙
イクシス ガス・コンデンセート田の CPF(手前)と FPSO(奥)(画像: 国際石油開発帝石)[写真拡大]
7月末、国際石油開発帝石(INPEX)が「オーストラリア北西部沖で液化天然ガス(LNG)の生産を開始した」と発表した。資源が乏しい日本にとり安定したエネルギーの供給のため、ガス田開発は不可欠。が、産出ガスを船で日本に持ち込むためには、液化天然ガス(LNG)化することが不可欠。
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オーストラリアは日本にとって、最大のLNGの輸入元。INPEXによると今回の件は「イクシスLNGプロジェクト」と呼ばれる大型開発案件。かつ日本にとっては今後の油田開発を展望する上で、エポックメイキングな出来事。同プロジェクトにはフランスの石油大手:トラルなども参画しているが、日本企業として初めて開発全体を指揮する「オペレーター」役を担った。結果、年間約890万tの生産量のうち約7割が日本向けとなる。斯界に明るい筋は「オペレーター役を務め切ったという実績が大きい。一歩踏み出したガス田開発が可能になる」と評価する。
一方、こんな事実も7月末時点で明らかになった。ガス田開発をはじめ海外での資源開発をリードする観点から2004年、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」が設立された。機構は16年度までに開発会社50社に約5,463億円を出資し、約27社に約1兆3,000億円の債務保証をしてきた。
今回機構が出資し会計検査院が、問題となっている案件を調べた調査結果が発表された。「問題あり」とされたのは、カナダのガス田開発。機構は12年度以降、開発会社に計800億円あまりを出資しかつ計約1,475億円の債務保証を実施し産出に至った。が、開発会社はLNGに際して窮してしまった。ガスは別の企業が建設する施設でLNG化する計画だった。だが資源価格の下落などを理由に、施設計画が中止されてしまったのである。前記のとおり、LNGがなされなくては日本に運ぶことはできない。会計検査院は機構に対し、こう箴言した。
「産出したガスを海外企業が保有するLNGと物々交換するなどの措置を講じるべきだ」
日本のエネルギー対策は決して容易ではない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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