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デジタル化するファッションマーケットへの対応は?レクトラ・ジャパンがセミナー
自動裁断やデザイン・パターン作成、PLMなどのソリューションを提供するレクトラ・ジャパン(大阪、田中昭彦社長)が、ファッション業界関係者向けセミナー「デジタル化するファッションマーケット」を都内で開いた。“ミレニアル”や“インダストリー4.0”などファッション業界に影響を与えるメガトレンドを紹介し、生産現場においてもデジタル化が避けられない時代であると指摘。近年ファッション業界でニーズが高まるメイド・トゥ・メジャー(オーダーメイド)についても触れ、メイド・トゥ・メジャー商品の大量かつパーソナライズ化されたニーズに対応するには、デジタル化による業務の時間短縮・効率化が不可欠であり、それが、新規顧客の開拓にもつながると強調した。
セミナーの中で、同社は、一般的なメイド・トゥ・メジャー(オーダーメイド)が抱える課題として、同社は、以下の6つの課題をあげた。(1)幅広いスタイルが存在し、幅広い素材の組み合わせ、体型が加わり複雑な要素が絡み合う(2)高額な生地を使うため生地用尺をいかに効率的にとるか(3)量産品に比べて生産コストがかかる(4)通常納期が3~6週間かかるため、機会損失につながりやすい(5)パターンの補正技術。お客の体型に合わせて基本の型紙をどう修正していくか。ベテランと新人のフィッターとでは、仕上がりに差が出る可能性がある(6)どこまで緻密なフィッティングができるか、という点があることを指摘。
一方、レクトラ社のメイド・トゥ・メジャー・システムで、例えばスーツを作る場合は、サイズ・仕様などの必要項目を直接入力していくことで、パターン補正や生地へのマーキング、さらに裁断のためのデータ作成も自動的に行う。さらには同社の自動裁断機が裁断データを読み取り裁断すれば、通常の納期の3~6週間から、およそ3分の1の1~2週間まで大幅縮小することも可能になるという。
納期短縮を実現したことにより、「例えば、日本を訪れたインバウンド客が、メイド・イン・ジャパンの仕上がり品を日本滞在中に受け取ることも可能となるだろうと説明する。作業を標準化することにより、スキルのばらつきがなくなり、商品を均一なクオリティーで提供することもできる。また、大量のオーダーを自動バッジ処理(一括処理)できるため、顧客がオーダーした複雑かつ大量の要望も煩雑にならずに管理することができる、と同社メイド・トゥ・メジャー・システムのメリットについて語った。
また、メイド・トゥ・メジャーに代表されるように、多くのお客が自分の好みや体型に合った“オンリー・ワン”を求める流れは止められないとし、「カスタマー・エクスペリエンスや参加型へとシフトし、かつ各社がクイック・デリバリーに凌ぎを削るなか、一歩進んで受注機会を逃さないことが重要。生地コストや時間、人件費の削減を行って効率化を図る体制が整えば、その次には、いかに収益性の高いビジネスモデルを作るか、競争力を育てられるか、という新たな目標に向かうことができる」とした。
その事例として、同社のクライアントである中国ダーヤン社を紹介。同社は大連に工場を持つ世界最大手のスーツメーカー。中国では、メイド・トゥ・メジャー市場が年間40~50%の伸びを見せており(ガーメント(衣服)自体は5%の伸び)、同社もレクトラとパートナーシップを組むことで、メイド・トゥ・メジャー商品の生産体制を強化することを計画。組織規模を変えずに、メイド・トゥ・メジャー商品の年間生産数を現在の30万着から、3年後の2021年までに100万着に増やし、今後10年で、メイド・トゥ・メジャー商品の比率を同社全体の半分以上にすることを目標に掲げているという。
同社は、「日本の企業・ブランドについても、その強みを生かし、世界のマーケットで戦うサポートをしたい」とくくった。
同セミナーでは、レクトラ・ジャパンの田中昭彦社長も、メインタイトルでもある「」をテーマに登壇。その中で田中社長は、ファッションビジネスが直面する課題について触れ、「ミレニアル世代、デジタル化、中国、そしてインダストリー4.0(IoTやAIによる第四次産業革命)というビジネスにおける4つのメガトレンドがあるなか、従来のビジネスモデルでは通用しない時代。デジタルは私たちの生活を補完するものではなく、もはやリアルな生活の一部になりつつある。また、ものづくりの現場にもデジタル化の波が来ている」と指摘。「柔らかい素材(布)を取り扱うこともあり、ファッション分野におけるインダストリー4.0を進めることは非常に難しかった」とする一方、「トレンドを発信する従来型のものづくりではなく、メイド・トゥ・メジャーに注力・シフトしていくことにより、今まで取り込めなかった新規顧客を取り込める可能性がある。また、メイド・トゥ・メジャーの潮流は、高級品だけじゃなくベーシックアイテムにも及び大規模かつパーソナライズされた需要がますます増えるだろう。私たちは、ハードウェア、ソフトウェア双方におけるソリューションのノウハウがある。変化が訪れているファッション業界の縁の下の力持ちになりたい」と話した。
仏レクトラ・グループは、ファッション(アパレル・バッグ・靴)や、自動車(シート・内装品・エアバッグ)、家具に加え、航空宇宙、船舶、風力発電や個人用保護具など、多彩な市場に関連する製品デザイン・開発・製造の自動化・合理化および加速化を支援する統合ソリューションを提供。ファッション分野では、裁断機をはじめとするハードウェアの機器開発に加え、CADやCAM、PLMといったソフトウエアのソリューションを提供。世界32拠点を持ち、2015年には日本上陸30周年を迎えた。
レクトラ・グループは、2017~2019年には30億~40億円相当を技術開発費用に充てている。
■レクトラ・ジャパン
※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。
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