日立、複数AI制御技術を開発 ロボットアームと搬送台車を統合制御

2018年5月29日 11:57

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ピッキング用ロボットによって搬送台車に積まれた商品を取り出す際の技術比較(図:日立の発表資料より)

ピッキング用ロボットによって搬送台車に積まれた商品を取り出す際の技術比較(図:日立の発表資料より)[写真拡大]

 日立は28日、ピッキング用ロボットと自律走行する搬送台車を統合制御することで、搬送台車に積まれた商品群の中から指定の商品をスムーズに取り出し、ピッキング作業を効率化する複数AI協調制御技術を開発したと発表した。

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 様々な産業でAI活用のニュースが飛び交う。特定の機能に関しては、既に人間の能力を超え、数十年後には幾つかの職業がなくなるとの推測もある。ところが、多くの職業は、複数の機能の集合体だ。AIとAIを正しく連結して、全体を制御することなしに、人間の業務を肩代わりすることには、無理があるように思われる。

 今回の発表は、複数AIを制御する一つの解法として、大きな意味がある。図を見て欲しい。商品の荷積み状態に基づいて、搬送台車とロボットアームは最適な速度で互いに衝突することなく近づき、搬送台車の移動を止めることなくスムーズに商品をピッキングする。この統合管理と協調制御により、38%の作業時間の短縮を達成した。

●複数AI制御の特長
 カメラ画像から最適なピッキング方法を判断するAIとリアルタイムな複数AI協調制御技術が特長という。

 カメラの画像から、商品の荷積み状態に応じてピッキング用ロボットが取り出し可能な商品の位置や搬送台車の速度調整量を判断。数万通りのシミュレーションに基づいた教師データとディープラーニングでの学習を核とする。

 画像から最適なピッキング方法を判断するAIの下で、リアルタイムにロボットのAIと搬送台車のAIを協調制御。これが肝であろう。ピッキング方法の解析と最適解を選択後に、アームの動作と走行速度を指示。その指示を受ける側もAIで動作するが、そこにリアルタイム性が求められる。毎秒50センチメートルで走行する搬送台車を停止させることなく、商品のピッキングに成功した。

●AI(日立、複数AI制御)のテクノロジー
 物流倉庫では、膨大な種類と数の商品在庫の中から注文に応じた商品を集めるピッキング作業が大量に発生。作業の自動化と効率化が必須だ。ピッキング作業を支援するために商品を棚・ケースごと運ぶ搬送台車は既に実用化されている。現在の関心は、ケースから商品を取り出すピッキング用ロボットと搬送台車を組み合わせたシステムの開発へ移っているという。

 今回、ピッキング用ロボットと搬送台車を協調させ、ピッキング作業の効率を最大化するための複数AI協調制御技術を開発。従来13秒だった作業時間を、8秒に短縮した。

 今後は、この協調制御技術の製品化を図るとともに、日立製の無人搬送車「Racrew」や自律型移動ロボット「HiMoveRO」などとあわせて、物流の効率化に貢献するという。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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