ヒトラーはベジタリアンだった 歯の分析で解明

2018年5月29日 11:44

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●死亡時は特定、死因にはミステリーが

 フランスの法医学研究チームは、ナチスの指導者アドルフ・ヒトラーの遺骨を分析した。分析によって、ヒトラーは1945年にベルリンで死亡したことが再確認された。死因については、調査後も謎が残された。また、残存した歯の分析により、ヒトラーはベジタリアンであったことが判明した。

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●ヒトラーの逃亡説は否定される

 ソ連軍によってロシアに持ち去られていたヒトラーの遺体が、ヴェルサイユ・サンカンタン・アン・イヴリーヌ大学の研究チームにより分析された。結果は、雑誌『European Journal of Internal Medicine』に掲載されている。ヒトラーの遺体は、1993年のソ連崩壊の際にロシアが所有していることを公表していた。

 研究チームを率いた法医学教授フィリップ・シャルリエは、「ヒトラーがベルリンにあった書記局の地下壕で死亡したことはまちがいない。海路でラテンアメリカに渡ったとか、南極の秘密基地に向かったという諸説は否定されるべきである」と述べている。

●損傷が激しいヒトラーの遺体

 ヒトラーの遺体は、死亡後に略奪を怖れて火にかけられたために非常に損傷が激しいといわれている。研究チームは、1945年4月30日に妻のエヴァ・ブラウンと自殺したと伝えられるヒトラーの死因について、可能なかぎりその遺体から痕跡を探る調査を続けてきた。シャルリエ教授によれば、DNA分析は不可能であった。比較的良い状態で残っているのは、頭蓋骨の顎骨部分であるという。

 また、頭蓋骨の一部の調査から、左側に銃弾が貫通した形跡が認められている。自殺のさいに発砲したためではないかといわれている。

●健康な歯は4本だけ

 ヒトラーは死亡時、健康な歯が4本しかなかったことが調査により判明した。門歯を含む健康な4本の歯は下顎に集中、その他の歯にはカプセルやブリッジが装着されていた。これらは、米国に保管されていたヒトラーの頭部のX線と一致するため、頭蓋骨がヒトラーのものであることはまちがいないという。

 さらに、口腔内にアンチモンやバリウムなどの成分が発見できなかったことから、ヒトラーは銃で自殺するさいにこめかみか首に銃をあてて発砲した可能性が示唆されている。さらに、義歯に残った青い物質から、青酸カリを嚥下したとも考えられる。

●肉を食べていた痕跡がない

 また、電子顕微鏡とスキャニングで行った上顎と下顎の分析では、肉に関連する物質は皆無であり、ヒトラーはほぼ間違いなく菜食主義者であったと報告されている。いくつかの史料ではヒトラーがベジタリアンであったことが明記されており、今回の調査でそれが実証されたことになる。

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