NTTと松竹が業務提携 ICT技術とのコラボで歌舞伎俳優と3D映像の共演を実現

2018年5月10日 16:37

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 NTTと松竹は9日、歌舞伎とICT技術を組み合わせた新たなエンターテインメントをつくるために業務提携したと発表。2019年から2021年の3年間、松竹が保有および経営する京都南座を起点にして商用公演などを実施する。リアルな歌舞伎俳優と3D映像の共演などの演出が実現される見通しだ。

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 公演で活用するのはNTTが開発したイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」など。これはあたかもその場にいるかのような体験を、あらゆる場所でできるようにする技術である。ある空間に人がいたとして、その目の前の空間に、離れたところにある別の空間を伝送することで、極めて高い臨場感を提供する。

 観覧者の眼前で出演者があっと驚くような映像や音響演出を仕掛け、歌舞伎をより楽しめるようにするという、いわば新しい「おもてなし」の試みである。その1つとして、リアルな歌舞伎俳優と擬似3D虚像を共演させる。リアルとバーチャルの相互補完を通じ、日本文化の伝統を受け継ぎつつ新マーケットの創出を目指す。

 NTTと松竹はこれまでも新たな歌舞伎鑑賞の在り方を模索しながら数々の共同実験を行ってきている。「歌舞伎シアターバーチャル座」ではバーチャルの歌舞伎俳優をまるで本物であるかのように観覧者の目の前で見せた。

 「京結夢現連獅子(みやこむすびゆめのれんじし)」ではある場所で演じる俳優の映像、音声をリアルタイムで別の異なる場所に伝送し、その場所にいる俳優と共演させるといった、まさしくリアルとバーチャルが融合した世界初の歌舞伎舞踊を実現させた。

 今回の業務提携は、それらの取り組みをさらに先に進めるためのものとなる。3年間でビジネス性を検証し、公演は順次拡大していく予定だ。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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