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胃プロトンポンプの構造を原子レベルで解明、名古屋大学の研究
胃プロトンポンプ。(画像:日本医療研究開発機構発表資料より)[写真拡大]
ヒトの胃において胃酸を分泌する機構は、プロトンポンプである(プロトンポンプはヒトの胃以外でも様々な生理的機能において働いている)。その胃プロトンポンプの原子レベルの構造を世界で初めて解明することに、名古屋大学細胞生理学研究センター/大学院創薬科学研究科の阿部一啓准教授、藤吉好則客員教授らの研究グループが成功した。
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プロトンポンプという言葉が一般に知られているとしたらそれはほとんどの場合「プロトンポンプ阻害薬」という言葉によってであろう。胃の内部環境というのはpHにして1という非常に強力な酸性であり、そうでなければ食物を消化することができないわけであるが、しかしその強酸環境の産み出すエラーがたとえば胃潰瘍など、さまざまな疾患をもたらすことがある。そういうわけで、プロトンポンプ阻害薬は、胃酸がもたらす症状を緩和する薬剤として極めて強力な効果を発揮する。
胃プロトンポンプというのは、字義で分解すると胃のプロトン(酸)のポンプである。胃プロトンポンプがこうまで強力な酸性環境を作り出すことのできる機序の秘密は、40年以上も前にプロトンポンプの分子が発見されて以来、ずっと未解決の謎となっていた。
今回の研究は、プロトンポンプ阻害薬の一種である(vonoprazan、商品名:タケキャブ)を用いることで行われた。つまり、タケキャブが原子レベルにおいてどのように動作することでプロトンポンプを阻害するかを観察することで、プロトンポンプそのものの原始的構造を明らかにしたのである。
その構造は、たとえて言えば、「ビリヤードのように、グルタミン酸からH+(酸)だけを電離的に弾き飛ばして胃の中へと送り込む」ものであったという。
なお、研究の詳細は、Natureのオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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