情報が正しく記録された化石サンゴを見分ける手法、産総研などが開発

2018年2月24日 08:07

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化石サンゴの変質度と海洋環境情報量の相関イメージ。 (画像:産業技術総合研究所発表資料より)

化石サンゴの変質度と海洋環境情報量の相関イメージ。 (画像:産業技術総合研究所発表資料より)[写真拡大]

 海洋環境の変動の的確な予測のためには、過去の海洋環境データを分析する必要がある。そのデータはどこにあるか。観測することはできなくとも、記録はある。化石となったサンゴの中にそのデータは眠っている。ただ、化石サンゴなら何でもいいわけではない。正しく情報が記録されたサンゴもあればそうではないサンゴもある。問題はどういうサンゴならばよい資料になるのかということであるわけだが、その見分け方を、産業技術総合研究所と上島製作所の共同研究グループが開発した。

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 生きているサンゴはアラレ石というものでその骨格が作られている。化石となったサンゴは、骨格の一部が方解石というもののに置き換わる。なるべく、アラレ石がそのまま残っているサンゴの方が、より多くの海洋情報を読み出すことができる。つまりいい資料になるということである。

 そこで、化石サンゴの変質度合いを分析する手法が必要であった。従来の方法というのはあったが、それでは1%か2%程度までの変質度を判別するのが精一杯であった。しかし今回開発された方法は、1%以下の変質も割り出すことができ、信頼性の高い化石サンゴの選定が可能となる。

 ちなみに従来の方法は粉末X線回折法(XRD)という。今回開発されたのは熱ルミネッセンス評価法である。

 どういうものかというと、フーリエ変換型スペクトロメーターを用いて、サンゴの骨格内に含まれる微量元素であるマンガンからの発光を測定して評価するというものである。マンガンの発光の波長がアラレ石と方解石では大きく異なる為、これによって方解石の比率を高精度で割り出すことができるというわけだ。

 また、従来の方法は15分から30分程度かかるのに比べて、今回のものは1分ほどの測定で分析結果を出せるというメリットもある。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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