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伸縮自在の薄型スキンディスプレイ、東大・大日本印刷が開発
薄型で伸縮自在なスキンディスプレイ。独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術で、16×24個のマイクロLEDと伸縮性配線をゴムシートに実装した。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]
東京大学の染谷隆夫博士を中心とし、大日本印刷が参加した研究チームが、薄型で伸縮自在なスキンディスプレイの製造に成功した。
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独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術により、16かける24、つまり384個のマイクロ発光ダイオードと、伸縮性配線がゴムシートに実装されている。また、センサーで計測された心臓波形を動画としてディスプレイに表示することができる。
介護労働の負担増加や、医療費の増加などへの対応のため、QOL(生活の質、クオリティ・オブ・ライフ)の向上のための、セルフ・メディケーションやセルフケアの重要性が増している。
そのための基本は、自身の身体情報を容易にモニタリングし、それにアクセスするための導線の確立ということになる。現時点で、ウェアラブルデバイスに生体情報をモニタリングさせ、スマートフォンなどのIT機器に表示する方法論は確立されている。
しかし、この方法は幼児や、高齢者などにおいては容易ではない。そこで、計測から表示までをもっと自然にアクセス可能とする方法が求められていた。今回開発されたスキンディスプレイは、そのような用途を企図したものである。
全体の厚みは約1ミリメートル。45%の伸縮に耐え、皮膚に直接貼り付けても邪魔にならず、装着による負担が非常に小さい点が利点である。
既存の技術では、硬い電子部品を伸縮する素材の中に埋め込むとすぐ壊れてしまうという難点があったわけだが、応力が集中しないような設計にした結果、今回の製品のような壊れにくさが実現したという。
なお、曲がるディスプレイは既に商品化まで進んでいるが、伸縮する、また皮膚に張れる薄さのディスプレイは、研究開発段階のものが過去に数例あるだけだったという。
研究成果は、2018年2月17日(米国時間)にアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science;AAAS)年次大会で発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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