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涙の中にある「長い脂質」がドライアイを防ぐ、北海道大学の研究
涙液の三層構造と分泌腺。(画像:北海道大学発表資料より)[写真拡大]
北海道大学の研究グループは、涙の中に含まれる脂質の炭素鎖長と呼ばれるものの長さが、ドライアイと密接な関係を持っており、それが長いほどドライアイが起こりにくいという事実を明らかにした。
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涙液は脂質層(油層)、水層、ムチン層の三層から構成されている。いずれも重要かつ必須の成分である。ムチンは粘性があり、涙液そのものを眼球に留めておく働きを持つ。
一昔前、ドライアイというものは地味ながら不治の病であると言われていた。当時流通していた目薬といえばヒアルロン酸系目薬がほぼメインであったのである。ヒアルロン酸目薬は、それ自体で悪いということはないのだが涙の水分量を増やすという対症療法的なものであり、ドライアイの原因を取り除くことはできない。
その後、ムチンの作用系に干渉するドライアイ治療薬が登場した。ムチンの量を増やし、分泌量そのものを恒久的に改善する性質を持ったものである。
そして今回登場するかもしれないと目されているのが、第三の要素である油層に干渉するドライアイ治療薬というわけだ。
今回の研究はマウスを使って行われた。脂肪酸の鎖が短いマウスを人為的に作り出したところ、このマウスはひどいドライアイになり、最終的には角膜に混濁を生じるまでに至ったのである。
このように、ドライアイに脂肪の「長さ」が関わっていることが明らかになったのは、今回のこの研究が初めてであるという。今後、これを応用した新薬の創薬が期待されるところである。
なお、この研究は日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業(AMEDCREST)「画期的医薬品等の創出をめざす脂質の生理活性と機能の解明」研究開発領域における研究開発課題「脂質による体表面バリア形成の分子機構の解明」の一環として行われ、FASEB Journal誌にその詳細が掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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