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古代スキタイ王族の墓 衛星写真から発見
●紀元前9世紀にまで遡る文明スキタイの遺跡
スイス・ベルン大学考古学部のジーノ・カスパリ教授は、高解像度画像の衛星写真を詳細に分析し、スキタイの遺跡としては最も古い紀元前9世紀の王族の墓を発見した。
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最新の技術が可能にした分析により発見されたこの遺跡には、謎に包まれたイラン系遊牧騎馬民族スキタイの豪奢な宝物も眠っていると期待されている。
●謎が多い古代の遊牧騎馬民族
スキタイ人は、紀元前8世紀から3世紀頃にかけてウクライナを中心にユーラシア大陸で活動していた遊牧民族といわれている。
現在までスキタイの文明に関しては謎が多く、紀元前9世紀にまでさかのぼるといわれる今回の遺跡の発見により、この文明の重要な情報が得られる可能性が高い。
●湿原の下に隠れていた墓
遺跡を発見したベルン大学考古学部ジーノ・カスパリ教授が考古学雑誌「アルケオロジカル・リサーチ」に掲載した記事によれば、トゥヴァ共和国のウユク川周辺の一連の衛星写真を解析して得た結果であるという。
ロシア連邦の一角であるこの地域では、過去にも考古学上の発見が相次いだ。しかし今回発見された遺跡は湿原の下に存在していたため、これまで誰の目にも触れることがなかった。カスパリ教授は衛星写真に写る非常に特殊な円形構造に注目、発見にいたった。
●ユーラシア大陸に残る墳墓「クルガン」との相似性
中央アジア西部からヨーロッパにかけて残る青銅器時代の墳墓は、「クルガン」と呼ばれている。遊牧民であった証が副葬品として多く発見されている「クルガン」と、今回発見されたスキタイ民族の墓には共通性があると推測されている。
つまり、支配者階級が棺に入れられて埋葬されており、当時の宝飾品、武具、騎馬民族であったことを示す馬や馬具がともに埋められているのではといわれている。
●エルミタージュ美術館と共同で行われる発掘作業
遺跡の発掘は、ベルン大学、ロシア科学アカデミー、エルミタージュ美術館が協力して進められる予定である。
また、遺跡には「アルジャン0(Arzhan 0)」という名前がつけられた。10キロほど離れた場所にクルガンの遺跡が「アルジャン1号」として存在しているため、それよりもさらに古い遺跡であることを示す命名であるという。
専門家によれば、アルジャン0は湿原の中に存在するため接近が難しく、ゆえに盗掘者に荒らされていない可能性が高い。埋葬から何世紀にもわたり手つかずの状態であることが予想されるため、発掘の結果が非常に待たれている。
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