仕事に役立つマネジメント技法のすすめ9 〜緊張感、安心感を意図的につくる現場管理〜

2017年11月30日 15:59

印刷

 現場には工場、店舗、事務所、建設、顧客先と色々ありますが、マネジメントの出来るビジネスマンは現場をゆっくり歩き、マネジメントの出来ないビジネスマンは現場を早歩きします。

【前回は】仕事に役立つマネジメント技法のすすめ8 〜強制発想で自分の考えを深める思考管理〜

●見られているという緊張感をつくる

 現場を早歩きしていることは、自分の仕事を作業の延長線で考えている証拠です。それではマネジメントレベルの仕事は出来ません。現場に良い緊張感をつくれるビジネスマンは現場をゆっくり歩き、現場をその気で見ています。

 現場で働く人は現場をゆっくり歩く人を感じると『何をしているのかな?』という気持ちが生まれます。この気持ちが『正確に仕事をする』、『スピーディな仕事をする』という行動を後押ししてくれます。

 コンサルタントが工場の現場をゆっくり、その気で見ながら歩いているとそれだけで、ミスが減り、作業スピードが必ず早くなります。

 現場をゆっくり歩いてその気で見ることは、現場の『見られているという緊張感』をつくるのです。その緊張感が現場作業精度を上げてくれます。

●見てもらっているという安心感をつくる

 一方、見ているという行動は『安心感』も生みます。人は見てもらっていると実感出来ると安心します。この気持ちを分かっているビジネスマンは現場をゆっくり歩きます。

 明石家さんまの『恋のからさわぎ』という番組で出演した若い女性が「女性の小さな変化に気が付く男は信用出来ない」と言っていました。女性は自分の小さな変化、例えば『髪を短くした』、『マニュキュアの色を変えた』、『傘を変えた』等小さな変化に気に付いてもらえると嬉しいものです。そういうことに気が付く男はもてるので、「信用出来ない」と言っていたのです。

 現場でもこの『小さな変化に気が付く』ことが大事です。小さな変化に気が付くためには、以前のその人のことをよく見ていないと分かりません。

 以前の状態、小さな変化に気が付くためには、現場をゆっくり歩き、その気で現場を見ます。そして、気が付いた小さな変化をその場で褒めるのです。すると現場で『以前から見てくれているんだな』という気持ちが生まれ、それが『見てもらっているという安心感』を醸成するのです。

 現場をゆっくり歩いて、その気で見ると『見られているという緊張感』、『見てもらっているという安心感』を意図的につくることが出来るのです。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

【続き】仕事に役立つマネジメント技法のすすめ10《最終回》 〜マネジメントとは問題を考えること〜

関連記事