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力を加えると色が変わる分子を発見 東京大学の研究
フルオレニリデン-アクリダンの色の変化。乳鉢ですりつぶすと黄色から濃い緑色に変化する。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]
東京大学の研究グループが、力を加えることによって色が変化する分子を発見した。
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外部刺激によって性質を変化させる材料は、われわれの文明において様々な活用をなされている。例えば、現代の情報化社会を支える基盤たる「半導体」は、電気的刺激により電気的性質を変化させる物質である。
これとは異なるが、応力によって色が変化する素材を、メカノクロミック材料という。これ自体は、過去にもいくつか発見されているのだが、そのほとんどは、発光色を変化させる、という性質のものであった。つまり、それ自体の色が変わるのではなく、それが発する光の色が変わるのである。
一方、今回発見された物質は、発光色ではなく、吸収色、つまり見た目の色そのものを変化させるメカノクロミックである。それはフルオレンとアクリダンと呼ばれる有機芳香族化合物を二重結合で連結した化合物であり、フルオレニリデン-アクリダンと名付けられた。
原理は単純だ。黄色い粉末であるが、乳鉢に入れてすりつぶすと、緑色に変化するのである。
そもそも、通常の物体では、砕かれれば色は薄くなるのが普通だ。この物体においてはなぜ、このようなことが起こるのか。
その秘密は、分子の形態の変化がある。二重結合の両側に大きな芳香族基を持つ化合物は、「混みすぎたアルケン」と呼ばれる。分子の形状は、「混みすぎている」ために、平面にならず、折れ曲がっている。その構造が、短い波長の光を吸収するため、通常は黄色い。
ところが、これをすりつぶすと、分子の構造が「ねじれる」。それによって波長の長い光を吸収するようになるために、緑色の外見を取るようになるのだ。
なお、研究の成果は、11月15日、「Chemical Science」にオンライン掲載される予定となっている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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