気候変動により北海道で高級ワイン用ブドウ「ピノ・ノワール」が栽培可能に

2017年10月27日 17:29

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ピノ・ノワール。

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 地球温暖化には様々な副作用があるようだ。農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センターは、1998年を前後して生じた気候シフトにより、北海道でワイン向けの高級ブドウである「ピノ・ノワール」が栽培可能になったという事実を突き止めた。

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 日本におけるワイン用ブドウの生産地としては、北海道は随一の規模を誇る。生産量比率にして40%、第2位の長野県に倍の差をつける。ただ、北海道はワイン用ブドウの栽培北限ぎりぎりの土地であり、北海道で栽培が可能な品種は、清見、セイベル13053、ツバイゲルト、ミュラー・トゥルガウ、ケルナーなど、寒冷地向けのものに限られていた。

 一方、ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュを原産地とし、カベルネ・ソーヴィニヨンと並ぶ、代表的な赤ワイン用ブドウの一つである。渋み、タンニンが少なく、軽口で飲みやすいワインの原料となり、比較的、赤ワイン入門者向けとも言われるが、高級なワインにも用いられる。たとえば、ブルゴーニュを代表する極めて高価なワイン、「ロマネ・コンティ」もピノ・ノワールから作られている。

 ピノ・ノワールは商業的価値の高い品種であるので、明治の開拓期以来、北海道でも栽培が試みられてきたが、20世紀末に至るまで成功した例はなかった。ところが21世紀に入ると、急速に栽培・醸造の報告例が現れた。北海道農業研究センターは、98年を境として起きた気候シフトが、わずかな差でピノ・ノワールの栽培北限を押し上げ、北海道がその範囲に入るようになったことを、今回研究によって突き止めたのである。

 今後の可能性としては、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、メルロー等の、ピノ・ノワールよりもさらに栽培適温が高い品種の北海道への導入が考えられるという。

 なお、研究の詳細は、農業気象学会誌『生物と気象』に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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