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仕事に役立つマネジメント技法のすすめ4 〜数値と行動をリンクさせる目標管理〜
目標管理の概念は1965年(昭和40年)に日本へ紹介されました。以来、その目的は企業の業績向上なのか、個人の能力向上なのかと議論が続きました。現在では『企業の業績向上』と『個人の能力向上』の同時実現だと言われています。一つのマネジメントツールで二つの要素を同時実現することをコンカレントマネジメントと言います。
【前回は】仕事に役立つマネジメント技法のすすめ3 〜良い意思決定を促す指標管理〜
●目標を『率』で言う失敗
目標管理の仕組みを導入している企業の社員に「目標は何か?」と尋ねると殆どの社員は「売上予算100%達成です」と答えてきます。
これは目標を自分自身で考えていない証拠で、会社の方針、上司から言われていることをオウム返ししているに過ぎません。会社の方針は率で良いのですが、現場メンバーが率で目標を言っている限り、具体的行動イメージが湧きません。目標達成のための必要行動が具体化しないのです。
「売上予算100%達成のための行動」と言って、イメージが湧きますか?現在売上予算達成率99%だとしたら、「残り1%を頑張る」と言うことで、その行動イメージが湧きますか?残念ながら湧きません。
また、目標を「100%達成」、「1%上乗せ」と言われても、その大変さが明確でなく、その社員がどの位難易度高い目標へ挑戦しようとしているかも分かりません。
目標数値が率だと、数値と行動がリンクしないのです。
●目標を『額』で設定することが数値と行動がリンクする条件
数値と行動をリンクするためには、目標を額で設定することが求められます。例えば、売上予算100%達成のためにどの位の売上額を上乗せするのかを明確にします。
この上乗せ売上額が妥当であることを証明するためには商品別、チャネル別、顧客別の売上高実態を分析し、拡販の余地がある場所を探さなくならないはずです。また、この拡販余地は額で算出されないとそもそもの上乗せ額に十分か分かりませんね。
その結果、目標売上額を実現するためには、どの商品をどのチャネル、どの顧客に対し行動を起こしていくかが明確になります。以後は、チャネルの問題、顧客の問題を現場で調査し、その解決策を立案します。
このプロセスでは上乗せ目標額達成ための必要行動発見スキルを磨くことが出来、数値と行動はリンクし始めます。数値と行動をリンクすれば、目標達成確率は上がります。このプロセスは最強のビジネスマンを生むのです。
このようにして目標管理では『企業の業績向上』と『個人の能力向上』の同時実現していこうとします。コンカレントマネジメントは数値と行動がリンクすることで可能となるのです。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る)
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