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北大ら、プランクトン量の分析システムを開発 ホタテ養殖に活用も
海の動物プランクトン。[写真拡大]
北海道大学と北海道立総合研究機構中央水産試験場の共同研究グループは、海に生息する動物プランクトンの量を迅速に調べることのできる新たな分析システムを開発した。北海道では重要な水産資源である、ホタテの養殖における活用も見込まれる。
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カメラによる撮影と、画像の情報処理を組み合わせたシンプルな原理のもので、コストは低いが、従来の顕微鏡などを用いる方法に比べ、5倍ほど高速化できるという。
プランクトンはギリシャ語の「彷徨うもの」という言葉に由来し、水中や水面を漂って生きる生物の総称である。遊泳能力を持たないか、持つにしてもごく小さいものを指す。「水中で暮らす微生物がプランクトンである」というよくある誤解があるが、大きさは必ずしも問題ではなく、クラゲの仲間など大きなプランクトンもいる。ただいずれにせよ、食物連鎖の系の中では下位に位置づけられる。
プランクトン量を調べることにどういう意味があるかというと、まず、サケやホッケなどの回遊・移動を割り出すのに、プランクトンの情報が役立つ。将来的には、資源変動予測への応用なども視野に入るという。
ホタテの養殖にも利用できるが、これはまた別の角度からの話である。ホタテは5月頃に産卵するのだが、孵化から1カ月程度の幼生期は、かれら自身がプランクトンのような浮遊生活を送る。約0.25ミリメートルの大きさに育った頃、何らかの物体に付着する性質を持つので、この時期に「採苗器」という特殊な網を海中に設置してホタテ養殖を行うのであるが、水中におけるホタテの生育具合を調べるために、今回の分析システムが役に立つのである。
今回のシステムは、まずカメラは市販のレンズを取り付けたデジタルカメラでよい。海から試料を採取し、インターネット上で配布されているフリーの画像分析ソフトを使って、プランクトンを目視で種類別に分け、大きさを自動測定する。独自の表計算ソフトを利用することで、プランクトンの重量のほか、栄養の目安となる炭素量、窒素量も測定できる。
ちなみに、養殖時のホタテの餌は植物プランクトンであるという。冷たい北の海のプランクトンを食べて育ったホタテは甘く、美味であるとされる。たかがプランクトン、されどプランクトンといったところだ。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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