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仕事に役立つマネジメント技法のすすめ3 〜良い意思決定を促す指標管理〜
企業の経営指標には色々な思想で集計されたものがあります。その特性を理解して読み込まないと判断を誤ります。本質が分かると意外と簡単なのです。
【前回は】仕事に役立つマネジメント技法のすすめ2 〜これから起きる問題に対処する先行管理〜
●指標管理の前提、財務会計と管理会計の違いを理解
企業の経営指標を理解する上で財務会計と管理会計の違いを理解出来ると指標の見方は簡単であることが分かります。指標とは目標利益を確保するため、経営の事実を定量的に表し、最適なタイミングで管理者に意思決定を促すものという定義で話しを進めます。
財務会計は別名で外部報告会計と呼ばれ、管理会計は内部報告会計と呼ばれます。この時の外部とは銀行を指します。財務会計は正しい数値報告が目的のため、集計では『正確性』が一番に求められます。一方、内部とは企業内の管理者を指します。管理会計の目的は正しい意思決定ですから『よいタイミング』でのアウトプットが求められるのです。
例えば、財務会計での売上高集計は一円単位で集計されますが、管理会計での売上高は千円単位での集計となります。財務会計は正確性、管理会計はスピードと分かり易さを求めるからです。
財務会計上の売上高と管理会計上の売上高に誤差が出る時があります。集計思想が違うから当り前なのですが、勘違いしている管理者の中に「財務会計上の売上高と管理会計上の売上高を合わせろ」と言う人がいます。
これは大変な間違いで、管理会計上の売上高は集計スピードが命なのに、財務会計上の売上高と合わせるため集計が遅くなり、本来の目的である良いタイミングでの意思決定を阻害することになるのです。
このようなことから、経営指標は管理会計の数値が使われ、最適なタイミングで管理者に意思決定を促すものとの理解が深まるはずです。
●指標には平均値と実績値の概念がある
管理会計で集計された指標には、平均値と実績値の概念があります。例えば売上高、売上高は毎日、毎週、そして月、年で集計されます。このように週、月、年単位で集計されたものを平均値の概念といいます。
平均値の概念の目的は評価です。その数値が良かったのか、悪かったのかの評価するために使います。
一方、売上高には、曜日別の売上高、月初/月中/月末の売上高、五の付く日など日別の売上高があります。これらの売上高は日毎の仕事と直接的に結びついており、売上高が低ければ低い理由、また売上高が高ければ高い理由がわかります。この売上高を実績値の概念と呼び、目的は問題発見です。
このように平均値としての売上高は『良い、悪い』の評価として使用し、問題発見としては使用出来ません。一方、実績値の売上高は仕事と結びついているため、問題発見の目的で使用出来ます。平均値の概念と実績値の概念をごっちゃにしてはいけないのです。
この平均値、実績値の概念は売上高という指標だけでなく、荒利、値入、経費、利益や生産性指標でも使うことが出来ると経営指標を見る腕前が上がります。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る)
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