パナソニック、三次元距離センサ3D LiDARを開発 自律移動ロボットに活用

2017年9月12日 06:19

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「三次元距離センサ3D LiDAR」(写真: パナソニックの発表資料より)

「三次元距離センサ3D LiDAR」(写真: パナソニックの発表資料より)[写真拡大]

 パナソニックは11日、周囲にある物体までの距離と方向を正確に計測できる三次元距離センサ3D LiDARを開発したことを発表した。独自構造のレーザスキャン技術により、垂直方向60度、水平方向270度に至る広範囲の三次元計測距離を実現した。用途としては、自律移動ロボットの走行に活用できるという。

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 特長としては、垂直方向の計測範囲が広いため、路面の障害物や凹凸を正確に検知することが可能になった。スキャン範囲や解像度も利用シーンに応じた変更が可能になり、日照環境下でも高精度な計測ができることから、人の行き交う施設内や屋外における自律移動ロボットの普及に大きく貢献できるという。

 これまでの車載用3D LiDARは垂直スキャン範囲が不足していたことから、複数のセンサと組み合わせる必要があったが、今回の開発品においては広角スキャン実現により走行制御システムの簡略化も図れたという。

 LiDAR(ライダー)とは、光を用いた技術として、レーザー照射に対する散乱光を測定することで、遠距離にある対象物の距離や性質を分析するものである。近年では、車両の現在位置把握と数センチ単位での距離測定において必要不可欠な技術として、自動運転の分野にて注目を集めていた。

 3D計測技術全般も、ロボットや機械が現状を把握する重要なツールと同時に、製造現場においては前後工程を「つなぐ」役割を担っていることから大きく期待されている。一方で、計測する技術の難易度は高くないが、計測データをソフトウェアにて処理する側のスキル不足が懸念材料として挙がっているという。

 3D LiDARの開発は車載関連を中心に他社も力を注いでいる。パイオニアは7日、MEMSミラーを用いた独自の車載用3D LiDARを開発したことを発表。開口部の小さいMEMSミラーとレンズを組み合わせ、光学設計を最適化したという。今後も、検知が難しいとされてきた黒色の物体や遠方物体の計測能力を高める技術開発を推し進めていくとしている。

 自動運転を発端に技術革新が加速する3D LiDAR。今後は、車載だけでなく宅配ロボット、農業機械、建設機械などにおいて幅広い用途が期待されていることから、各開発企業の動きには注目である。

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