関連記事
京大、チンパンジーにじゃんけんを覚えさせることに成功
グーとパーのうち、パーを選ぶチンパンジー。(画像:京都大学発表資料より)[写真拡大]
京都大学の松沢哲郎教授らの共同研究グループは、「チンパンジーがじゃんけんを学習できる」という事実を発見した。
【こちらも】京大、リズム音に対するヒトとチンパンジーの類似性を明らかに―自分に近いリズムに引き込まれる
じゃんけんにおいては、グー(石)はチョキ(鋏)に勝ち、パー(紙)はグーに勝ち、チョキはパーに勝つ。この関係は、直線的でなく、循環的であるといえる。
ヒトにおいて、この関係を理解できるようになるのは、だいたい4歳くらいからであるという。今回の研究でじゃんけんのルールを学習することができたチンパンジーは、7匹の被験体のうち5匹であったが、チンパンジーにこのような循環関係を理解する能力が備わっていることが発見されたのは初めてのことだ。
では、どのような実験を行ったのか、具体的に見てみよう。まず、チンパンジーの手の写真を編集し、グーとチョキとパーを表現する画像を作成した。そしてグーとチョキ、チョキとパー、パーとグーのいずれかのペアの画像をチンパンジーに提示し、そのペアの中で強い方の手を選ぶと食べ物が与えられ、チャイムが鳴る、という実験環境を構築した。
これを毎日3セッションずつ行ったところ、100日ほどの訓練を経て、3つのペアがランダムに提示される難しい課題においても、5匹までのチンパンジーが完全に正解できるようになった。
そして次に、画像を変更した。チンパンジーの手ではなく、人間の手による新たなグー・チョキ・パーの画像を作り、同じようにチンパンジーに提示した。
はじめ、チンパンジーたちは新しい画像による設問にまったく対応できなかった。しかし訓練を続けるうち、人間の手の画像でも、またその他の新しい画像でも、正しくじゃんけんの循環関係を理解することができることを示したという。
なお、研究の詳細は、Springer社の学術誌「Primates」オンライン版で公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード