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高齢者の「利用したくない」ロボット介護とは?
2007年に高齢化率が21%を超え、日本は「超高齢社会」へと突入している。介護事業での人材不足と現場の負担軽減が喫緊の課題となっている中、ロボット介護事業に注目が集まっている。[写真拡大]
2007年に高齢化率が21%を超え、日本は「超高齢社会」へと突入している。そのペースは諸外国との比較においても突出して速く、高齢者人口の絶対数も増加基調が続く見込みである。今後、急速な超高齢社会の進行が予想される中、介護事業での人材不足と現場の負担軽減が喫緊の課題となっている。そんな中、ロボットを活用した介護事業に注目が集まっている。
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日本は、ロボット稼働台数約30万台、世界全体の4分の1を占め、世界的に見てもロボット大国といえる。ロボット介護機器の開発には政府も注力しており、13年に日本再興戦略を閣議決定、急速な普及拡大に向けて「ロボット介護機器開発5ヵ年計画」を開始しており、安価で利便性の高いロボット介護機器の開発を進めることとしている。
主なロボット介護機器としては、移乗介助用機器、移動支援用機器、見守り用機器、「pepper」などのコミュニケーションロボットなどがある。昨年度における高齢者施策に関する都民意識調査では、ロボット介護機器の利用意向について、「利用したい」では「見守り用機器」(77.7%)が最も高く、次いで「移動支援用機器」(72.7%)、「移乗介助用機器」(69.2%)となった。一方で、「利用したくない」では「コミュニケーションロボット」が32.8%と突出した数値となり、要素技術の汎用化により低価格化が実現し成長が期待される分野ながら、利用者にはまだまだその価値を伝えきれていないようだ。
ロボット介護機器を利用したくない理由について機器別に聞いたところ、“移乗介助用機器”“移動支援用機器”では「価格が高そうだから」「安全性に心配があるから」などの意見が多く、市場の未成熟や認知度の低さに課題を残す結果となった。 一方で、“見守り用機器”では「プライバシーが確保されるのかが心配だから」(63.8%)が最も多く、今年成立した共謀罪法との関連や頻発する企業による個人情報漏洩などの影響で、利用者側は少なからず不安を感じているようだ。
ロボット介護にはロマンもあり、AI技術の発展などにより現実に成長が期待できる分野だ。サービスロボットは現状、PR効果を意識した集客が主な利用シーンとなっているが、活用シーンの拡大が期待されている。今後は、どれだけ利用者目線に立ち安心して利用してもらえるかが、人とロボット共存の分かれ目になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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